研究課題/領域番号 |
21K15626
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分51030:病態神経科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
菊田 里美 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 モデル動物開発研究部, 科研費研究員 (00802290)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | パーキンソン病 / 病態モデル / 霊長類 |
研究開始時の研究の概要 |
パーキンソン病は、大脳の基底核にあるドーパミンニューロンの変性・脱落によって大脳基底核全体の活動性が異常を来すことにより発症するが、おおよそ 8 割の黒質ドーパミンニューロンが脱落するまでは症状が現れないことが分かっている。本研究では、進行性の神経変性が数ヵ月持続するパーキンソン病モデルサルを作製し、症状発症前から発症後に至るまで経時的に行動学的解析・神経活動に関する解析・組織学的解析・生化学的解析を行い、表現型・脳内状態・体内状態の変化のデータを様々な観点から検証する。
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研究実績の概要 |
本研究は進行性の神経変性が持続するパーキンソン病モデルサルに対して、行動学的解析・組織学的解析・生化学的解析・神経活動に関する解析を実施することで、パーキンソン病の進行過程における、脳・体内状態を明らかにし、症状発現前の病態の進行のメカニズムを理解することにより、パーキンソン病における病態進行の予測や治療法の開発を可能にすることを目的とする。 前年度はマカクサルの電気生理学的にマッピングを行った片側線条体の一部に、逆行性に感染しアルファシヌクレインを発現する AAV ベクターを投与することで、部分的なパーキンソン病モデルサルの作製を試みた。その結果、投与後4ヶ月では採餌タスク(主に手指の運動課題)の成功率にはほとんど変化は見られなかったが、補足運動野を刺激した際の淡蒼球外節の遅い興奮性の応答が減少する傾向がみられた。この遅い興奮性の応答は、補足運動野から線条体を経由した応答であることが分かっているため、アルファシヌクレインの発現により線条体の活動に変化があることが示唆された。 そこで本年度は、還流固定を行ったサルの脳サンプルを作成し、ドーパミンを合成するための酵素であるTHおよびアルファシヌクレインの免疫染色により導入遺伝子の発現状態やドーパミン細胞死の程度を解析した。その結果、黒質において多少のアルファシヌクレインの発現は見られたものの、目立った細胞変性およびドーパミンニューロンの有意な減少は確認できず、TH の発現量もコントロールと比較して大きな減少は見られなかった。しかし、ベクター注入部位である線条体、また、大脳皮質の一部において集中的にアルファシヌクレインの発現がみられた。このことから今回使用したウイルスベクター (AAV2-retro) の黒質への逆行性の感染効率の悪さが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
還流固定を行ったサルの免疫染色により導入遺伝子の発現状態やドーパミン細胞死の程度を解析した結果、ベクター注入部位である線条体、また、大脳皮質の一部において集中的にアルファシヌクレインの発現がみられた。このことから今回使用したウイルスベクター (AAV2-retro) の黒質への逆行性の感染効率の悪さが示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
本年度までは逆行性に感染するウイルスベクターを線条体に局所的に注入することで、部分的なパーキンソン病モデルサルの作製を試みたが、来年度は順行性に感染するウイルスベクターを黒質に直接注入することによりパーキンソン病モデル動物を作製する予定である。
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