研究課題/領域番号 |
21K15636
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分51030:病態神経科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
清水 英雄 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 神経薬理研究部, 科研費研究員 (70812212)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 遺伝性神経変性疾患 / ハンチンチンタンパク質 / 脆弱X症候群 / ハンチントン病 / ユビキチン―プロテアソーム系 / トリプレットリピート病 / プロテアソーム / シナプス関連タンパク質 / シナプトポディン / イメージング / 神経細胞初代培養 / シナプス / 神経細胞死 |
研究開始時の研究の概要 |
ハンチントン病(HD)は、変異型ハンチンチンが原因で引き起こされる神経変性疾患である。HDのモデルマウスでは、シナプスの機能異常が起きており、責任遺伝子であるハンチンチン遺伝子のノックアウトは胎生致死に至る。これらのことから、変異型ハンチンチンは発生期から発現して、脳発達初期からシナプス形成に対して悪影響を及ぼすことが予想される。本研究では、シナプス形成異常と興奮毒性等による神経細胞死を、HDモデルマウスと同腹仔の野生型の初代培養神経細胞をそれぞれ用いて定量的に比較する。これにより、HDにおけるシナプス形成異常と神経細胞の脆弱性を明らかにし、HD発症に至る神経発達異常のメカニズムを解明する。
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研究実績の概要 |
本研究は、遺伝病であるハンチントン病での神経細胞内における異常を明らかにすることを目的としている。ハンチントン病は遺伝性トリプレットリピート病の一つであり、異常伸長したCAGリピートを持つHTT遺伝子が原因とされている。同様のトリプレットリピート病の一つである脆弱X症候群はFMR1遺伝子上でCGGリピートが異常伸長し、FMR1のコードするタンパク質であるFMRPの発現が抑制されることで引き起こされる。FMRPはRNA結合タンパク質であり、DLG4のmRNAと結合する。また、FMRPとよく似たタンパク質にFXR1というタンパク質があり、合わせてFXR Familyに含まれる。神経芽細胞腫であるNeuro2a細胞株を使用して、FMR1遺伝子と、それに関連するFXR1遺伝子とDLG4遺伝子をそれぞれノックダウンして、細胞内でどのような異常が生じるか調べた。その結果、これらの脆弱X症候群関連遺伝子のノックダウンによって、細胞内でユビキチン-プロテアソーム系の分解経路が異常亢進するということを発見した。また、これらの遺伝子をノックダウンで突起伸展が阻害された。この突起伸展の阻害は、初代培養神経細胞を用いた実験でも同様に観察された。同様にHTT遺伝子をsiRNAによってノックダウンしたところ、脆弱X症候群関連因子と同様に細胞の突起伸展が阻害された。そこで、HTT遺伝子ノックダウンでのユビキチン-プロテアソーム系について調べたところ、これも脆弱X症候群関連因子と同様に、ユビキチン-プロテアソーム系の異常亢進が見られた。これまで、ハンチントン病では、タンパク質分解系の減弱による異常タンパク質の蓄積が原因と見られていたが、これらの結果により、正常ハンチンチンタンパク質の消失によりタンパク質分解系が亢進するという新たな知見を得た。この知見は、ハンチントン病の病態解明につながることが予想される。
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