研究課題/領域番号 |
21K15643
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52010:内科学一般関連
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
植松 学 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (00622151)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | マイオカイン / 循環器疾患 / 骨格筋由来因子(マイオカイン) / 心不全 / バイオマーカー / サルコペニア / 健康寿命 |
研究開始時の研究の概要 |
近年骨格筋から産生される骨格筋由来因子(マイオカイン)が全身の代謝調整に関連することが明らかになり、健康寿命延伸のキーファクターとして注目されている。マイオカインは骨格筋のみならず心筋からも産生され、循環器疾患の病態にも深く関わっている。しかし近年激増する高齢心不全患者の重症度や運動耐容能とマイオカインの関係について、詳細は未だ明らかではない。今回の研究は、基礎実験で報告されている様々なマイオカインの作用について、臨床的な検証を行うことを目的とする。マイオカインの産生が循環器疾患の重症度を反映し運動耐容能の向上と関連することを検証し、健康寿命のバイオマーカーとしての確立を目指す。
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研究実績の概要 |
骨格筋や心筋から産生される骨格筋由来因子(マイオカイン)は全身に作用し、他の臓器と連携しながら全身の代謝調整を行うことが明らかになっている。マイオカインはこれまで20種類以上報告されている。本研究はマイオカインと循環器疾患の臨床的側面の関連について明らかにすることを目的としている。 本研究では、当院に入院する循環器疾患患者を対象に末梢静脈血サンプルを採取し、各種マイオカイン値を測定し、疾患重症度、動脈硬化抑制効果、栄養状態、心臓リハビリテーションの効果との関連などを調べる。これによりマイオカインが健康寿命のバイオマーカーとして有用であるかを検証する。
令和4年度は主に当院に入院した患者の症例登録と血液検体サンプルの収集・蓄積と患者フォローアップを行なった。また心臓リハビリテーションを積極的に行い、マイオカインとの関連について検証するデータの蓄積を行った。しかしコロナ禍で診療制限や不規則な対応が求められている状況で、目標患者登録数・年間200例に対して、患者登録数は数十例に留まり、十分な患者登録が進まなかった。そのため血液検体サンプルの測定、解析は進んでおらず、各マイオカインの差違、バイオマーカーの候補の選定ができていない。 予備的解析において、心筋、骨格筋両方から産生されるマイオカインの一つであるFollistatin-like 1 (FSTL1)は循環器疾患患者の年齢と負の相関があり、体表面積とは正の相関関係があることを確認している。FSTL1を含めたマイオカインについて今後測定、解析を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度は当院に心不全で入院する患者を対象に末梢静脈血サンプルを入院時、退院時、慢性期と経時的に採取する。ELISAで各種マイオカイン値を測定し、臨床パラメータとの関連を検討する予定であった。 主に当院に入院した患者の症例登録と血液検体サンプルの収集・蓄積と患者フォローアップを行なった。また心臓リハビリテーションを積極的に行い、マイオカインとの関連について検証するデータの蓄積を行った。しかし、コロナ禍で診療制限や不規則な対応が求められている状況で、目標患者登録数・年間200例に対して、患者登録数は数十例に留まり、十分な患者登録が進まなかった。特にコロナ禍で外来リハビリが進めないため、フォローアップデータの登録がなかなかできなかった。そのため血液検体サンプルの解析が進んでおらず、各マイオカインの差違、バイオマーカーの候補の選定ができていない。 予備的解析において、心筋、骨格筋両方から産生されるマイオカインの一つであるFollistatin-like 1 (FSTL1)は循環器疾患患者の年齢と負の相関があり、体表面積とは正の相関関係があることを確認している。FSTL1を含めたマイオカインについて今後測定、解析を進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
当院に入院する患者を対象として、年間200例を目標として、経時的な末梢静脈血サンプル採取、臨床パラメータチェック、フォローアップを継続する。 ELISAにて得られた検体の各種マイオカイン値を測定し、臨床パラメータとの関連を解析する。各マイオカインの差違、バイオマーカーの候補の選定を行う。 臨床パラメータは、特に心エコーや心臓MRIで心筋線維化や心機能の経時的変化をチェックし関連を調べる。 マイオカインの抗動脈硬化作用について、血流依存性血管拡張反応 (Flow mediated dilation: FMD)による血管内皮機能の評価や、頸動脈プラークの質的評価、血管内超音(IVUS)による冠動脈プラーク量、血管内光断層撮影(OCT)による薄い線維性被膜を有するプラーク(TCFA)との関連を評価する。 また栄養状態の指標(GNRI、PNI, CONUT scoreなど)とマイオカインの関連について確認する。運動と動脈硬化治療の併用が相乗効果を示す可能性があり、マイオカイン産生増加がこれらの指標になりうるか確認する。 心臓リハビリテーションの効果によりマイオカイン産生が刺激され、心リハの効果を高めることを確認するとともに、運動耐容能の指標になることを確認する。
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