研究課題/領域番号 |
21K15655
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52010:内科学一般関連
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
松浦 秀哲 藤田医科大学, 医療科学部, 准教授 (30761027)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 赤血球抗体 / 輸血 / 不規則抗体 / 抗赤血球抗体 |
研究開始時の研究の概要 |
抗赤血球抗体として最もよく知られているのはABO血液型システムにおける抗A、抗Bである。抗A,抗Bはランドスタイナーの法則に従い規則的に産生される。一方、ランドスタイナーの法則と関係なく不規則的に産生される抗赤血球抗体を不規則抗体という。不規則抗体は輸血や妊娠、出産などで非自己赤血球に曝されることで産生されるが、輸血患者や経産婦の全てに不規則抗体が産生されるわけではない。不規則抗体産生機序や産生に関連する因子は明らかになっておらず不規則抗体の産生を予見することはできない。本研究はDNAレベルで不規則抗体産生の因子解析を行い、不規則抗体関連疾患の予防および新規治療法につながる基礎データを得る。
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研究実績の概要 |
2021年、2022年度に引き続き、不規則抗体を保有する症例の集積を続けながら、解析を進めた。抗E抗体を保有する症例に着目した。これまでと同様、Human leukocyte antigen(HLA)遺伝子タイピング(HLA classⅠ; HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA classⅡ; HLA-DRB1、HLA-DQB1)を実施した。抗原提示細胞に存在するHLA classⅡのHLA-DRB1に着目して解析を行った。その結果、抗E抗体を保有する症例では、あるHLA-DRB1のタイプの頻度が日本人集団に比較して有意に高いことを見出した。in silico解析の結果、RhCEタンパクに親和性の高いコアペプチドが2種類検出された。さらにB細胞エピトープについても解析した結果、E抗原に特異性のあるRhCEタンパクの226番目のアミノ酸が予測範囲に含まれることがわかった。 HLAのコアペプチドとB細胞エピトープの関係性について検討した結果、両者を平面で直鎖状のペプチドとして捉えた場合には、2つの存在場所に距離が存在するため同一エピトープとは考えにくかった。RhCEタンパクをコンピュータ上で、3Dモデルを作成して、さらなる解析を実施したところ、RhCEタンパクの立体構造ではHLA-DRB1と親和性の高いコアペプチドとB細胞エピトープがそれぞれ15オングストロームの範囲に近接しており、同一のエピトープとなり得る距離に存在することがわかった。この結果は抗体産生に関与する機序を解明するひとつのアプローチとなり得ると考えられた。引き続き、別の抗体種別についても検討を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
不規則抗体の中で抗E抗体などに絞って解析を実施することで新しい知見が得られている。予定ではペプチドを用いた細胞レベルの実験を実施することになっていたが、保管細胞のコンディションなどの要因で遅延している。ペプチド実験を除いた解析の結果で論文化を進めているが、投稿準備の段階であり「やや遅れている」と考えている。次年度の論文投稿に向けて継続している。
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今後の研究の推進方策 |
現在進めている抗E抗体保有症例での検討結果を論文にする。投稿準備なので次年度でのアクセプトを目指す。これまで遺伝的背景と不規則抗体産生との関連性を探ってきた。次は、これらの背景因子に加えてサイトカインの関与などについて検討することで不規則抗体産生機序、因子の解明と予防法、治療法の開発につながる基盤研究を実施したい。
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