研究課題/領域番号 |
21K15687
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52020:神経内科学関連
|
研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
徳重 真一 杏林大学, 医学部, 助教 (30814561)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
|
キーワード | 認知症 / 眼球運動 / 視線解析 / 錯視 / パレイドリア |
研究開始時の研究の概要 |
わが国では高齢化社会の進行に伴い、認知症の患者数が増加している。認知症は早期に診断をつけ治療開始したほうが良い疾患であるが、早期に診断する手段がないことが現在問題となっている。申請者はこの問題を解決するために視線の動きを利用することを考案した。視線をどこに向けるかは脳によって判断されているので、認知症により脳の働きが悪くなると、物を見るときに重要な場所に視線を向けられなくなる。また、認知症があると顔でない画像が顔に見えてしまう「パレイドリア」という錯視現象が起きやすいことも知られている。これらを組み合わせて、視線の挙動や錯視の起こりやすさから認知症を早期に診断する手法を開発することを目指す。
|
研究実績の概要 |
本研究は、錯視という、物を見るときに誤って認識してしまう現象と、視線解析装置という人の視線の動きを記録する装置を組み合わせることにより、認知症を早期に診断する手法の開発を目指すものである。 令和3年度はその前段階として、人の視線の特徴を詳しく調べることを目的に、脳深部刺激療法(DBS)が図形を見る際の人の視線の動きに及ぼす影響を解析した。結果として、図形を見る際の眼球の加速や減速に要する時間はDBSの影響を受けないことを示した。 令和4年度は、若手研究「視線解析を用いた認知症の診断方法の開発」(19K17046)の内容とも重複するが、これまでに蓄積したアルツハイマー病患者と健常高齢者の視線解析のデータを比較し、アルツハイマー病における眼球運動や視線の挙動の特徴を見出した。すなわち、アルツハイマー病患者は、画像を見る際に重要な場所への注目をあまりせず、物を探索する課題をさせると目標物に辿り着くまで多くの視線の動きが必要となる。さらに瞳孔径を比較すると、健常者では視覚探索課題の実施中に瞳孔径が拡大するが、アルツハイマー病の患者ではその拡大が目立たない。これらの特徴を用いると健常者とアルツハイマー病の患者を鑑別することが可能であるということを示し、論文を執筆して投稿した結果、令和4年度内に採択され公表された(Tokushige SI, Matsumoto H, Matsuda SI, et al., Early detection of cognitive decline in Alzheimer's disease using eye tracking. Front Aging Neurosci. 2023;15:1123456)。 令和5年度は、アルツハイマー病の瞳孔面積に関する研究成果を日本神経学会の学術大会で発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
錯視現象を利用した視線解析の実験系を作成するのに難渋しているため。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は錯視発生時の眼球運動を記録する実験系を構築し、まずは健常者、認知症患者のデータを収集する予定である。
|