研究課題/領域番号 |
21K15690
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52020:神経内科学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
枡田 大生 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教 (10722936)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 多発性硬化症 / miRNA / 血液脳関門 |
研究開始時の研究の概要 |
多発性硬化症(MS)では血液脳関門(Blood brain barrier, BBB)の破綻が脱髄に先行するため、BBB破綻の評価が重要である。臨床的BBB破綻マーカーである血液・髄液中のアルブミン比(Qalb)や造影MRIは侵襲的で、頻回の施行は困難であり、治療効果判定への応用は難しい。MSのBBB破綻機序として血流低下に伴うミトコンドリア機能低下による血管内皮細胞の密着結合の障害が示唆されている。本研究では血液中のエクソソームmicroRNAからBBB破綻を簡便に評価可能にする新規バイオマーカー確立を目指す。本研究により研究開発が効率化され、将来MS治療薬開発促進が期待される。
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研究成果の概要 |
ミトコンドリア機能と関連が報告されているmiR-34a、miR-145、miR-146aを再発期の多発性硬化症(MS)10名、健常人8名の血清を用いて測定した。MSの再発時血清では健常人に比しmiR-145の⊿Ct値が有意に低下していた。さらに、そのMS患者10名においてMS患者の臨床的重症度の相関を調べた結果、再発6か月後の重症度とmiR-145の⊿Ct値が正の相関を示す傾向にあった。すなわち、miR-145の発現が高いと6か月後の重症度が低い傾向にあることを意味し、miR-145がMS再発時に保護的に機能している可能性があることを示唆する結果を得た。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
miR-145は間葉系幹細胞由来の細胞から産生される。ニューロンやグリアなどがそれらの細胞に含まれるため、中枢神経由来のエクソソーム内に含まれるmiR-145の産生源はニューロンやグリアであると想定される。miR-145の主な機能としては血管平滑筋細胞の調節が挙げられ、血管内皮細胞へのダメージを軽減する役割を有すると報告されている。また、miR-145はマクロファージによる炎症を抑えることも報告されており、miR-145はMS再発時において中枢神経系に保護的に作用している可能性がある。近年の核酸医薬開発技術の発展に伴い、将来的にmiR-145による治療応用が期待できる。
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