• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

臓器間ネットワークからみた脳梗塞病態におけるCRTCシグナルの意義について

研究課題

研究課題/領域番号 21K15695
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分52020:神経内科学関連
研究機関大阪大学

研究代表者

神吉 秀明  大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (10774218)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
キーワードCRTC / 脳梗塞 / 臓器間ネットワーク
研究開始時の研究の概要

我々は、CREB-CRTCシグナルの神経病態における重要性を見出し、脳においてはCRTC1の発現が顕著で、神経病態では神経保護的に作用することを報告し、CRTC2は脳血管内皮やBBBの機能保持、血管新生に重要な役割を果たしていることを発見した。CRTC familyは、肝臓での糖代謝、脂肪代謝、マクロファージなどの炎症細胞においても重要な役割を果たすが、脳梗塞をはじめとする神経病態において、どのような役割を果たすかは不明である。そこで、本研究においては、CRTCシグナルやその制御因子を中心に、臓器間ネットワークから脳梗塞病態を捉え、新規治療戦略を開発することを目的とする。

研究実績の概要

脳梗塞においては、Neurovascular Unitにおける様々なシグナルが脳内において活性化され、その中で我々はCREB-CRTCシグナルの重要性をこれまでに発見してきた。また、近年脳梗塞においても重要な役割を果たすことが知られるようになったmicroRNA(miRNA)にも着目し、CRTC1ノックアウトマウスを用いて検討したところ、CRTC1がmiRNA132/212の発現に影響を与えて脳梗塞を細胞膜の裏打ち蛋白と関連して脳梗塞を増悪させることが分かり既に報告している。さらに、脳梗塞と内皮細胞の観点からCRTC1/CRTC2のdouble knockoutマウスを作製して検討したが、表現型として確たるものが得られなかった。並行してマクロファージ特異的にCRTC1/CRTC2 double flox/flox×LysMyc-CREマウスにおいても表現型として確たるものが得られなかった。ただ、マクロファージで検討したところIL-10, nurr1などの遺伝子がCRTC3によっても制御されていることが分かり、炎症の観点からはCRTC3の重要性が明らかとなった。CRTC familyはお互いに補完している可能性が十分に考えられ、脳血管内皮細胞、ミクログリア、血管内皮細胞、マクロファージや、脂肪細胞におけるCRTCの意義を考える上では、CRTC1,CRTC2、CRTC3の全てをノックダウンするか、全ての機能を抑える必要があると考えられたため、ROSA26-ACREB-Knock In を作製し、Tie2-CRE及び、LysMyc-CREマウスと交配し、まずは、血管及び、マクロファージ特異的にA-CREBを発現させ、CRTC1,2,3の全てをノックダウンしたマウスを作製し内皮細胞やマクロファージにおいて脳梗塞に対するCRTC familyの役割の検討を進めている所である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究実績の概要欄にも記載したが、CRTC1/CRTC2のいわゆるdoubleの内皮細胞特異的ノックアウトマウスを作製して、CRTC1とCRTC2の意義について検討したが、doubleノックアウトで過去のものと比較して表現型としてはっきりとしたものが認められなかった。同様に、炎症所見のCRTC familyとの関連について、CRTC2のみでは表現型が出なかったためにマクロファージ特異的にCRTC1/CRTC2 double flox/flox×LysMyc-CREマウスを作製して検討を行ったが、こちらも残念ながら表現型として確たるものが出なかった。ただし、マクロファージで検討したところIL-10, nurr1などの遺伝子がCRTC3によっても制御されていることが分かった。更に、我々が実施したSingle-cell(scRNAseq)の解析からも総合的に考え合わせると、CRTC2とCRTC3のredundancyが想定される結果であった。そのため、脳血管内皮細胞、ミクログリア、血管内皮細胞、マクロファージや、脂肪細胞におけるCRTCの意義を考える上では、CRTC1,CRTC2、CRTC3の全てをノックダウンするか、全ての機能を抑える必要があると考えられたため、ROSA26-ACREB-Knock In を作製し、Tie2-CRE及び、LysMyc-CREマウスと交配し、まずは、血管及び、マクロファージ特異的にA-CREBを発現させ、CRTC1,2,3の全てをノックダウンしたマウスを作製し、現在検討を進めているが、複数のライン作製を行っており、当初の計画よりやや遅れている進捗状況である。

今後の研究の推進方策

CRTC familyの脳梗塞における臓器間のネットワーク病態の解明を目指している。脳梗塞におけるA-CREBノックインマウスでの表現型解析を進めていき、細胞特異的なCRTCの意義を検討している。特に内皮細胞においてCRTCが重要な役割を果たしていると考えられ、CRTC1、CRTC2、CRTC3のknockoutマウスを用いて内皮細胞と脳梗塞におけるCRTC familyの病態メカニズムを初代内皮細胞培養も含めて検討を進めている。同時に炎症の観点からマクロファージにおいて、上記にも記載した様にCRTC3が重要なファクターであると考えており、この観点からもFACSやqPCRも踏まえて更なる検討を進めている。CRTCの臓器間ネットワークを考える上では、脂質代謝は脳の食欲に関係する中枢神経核による影響も強くうけており、我々らの検討も含め、視床下部の神経核においてCRTCが重要な役割を果たしていることが分かってきた。そのため、脂肪細胞においてのみ制御することに加え、特定の中枢神経における食欲を介した脳梗塞をはじめとした病態を与える影響について検討を進めている。この目的のために視床下部の神経核に特異的なROSA26-ACREB-Knock Inを作製し、現在、検討を進めているところである。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] MiRNA-132/212 regulates tight junction stabilization in blood brain barrier after stroke2021

    • 著者名/発表者名
      Yan Haomin、Kanki Hideaki、Matsumura Shigenobu、Kawano Tomohiro、Nishiyama Kumiko、Sugiyama Shintaro、Takemori Hiroshi、Mochizuki Hideki、Sasaki Tsutomu
    • 雑誌名

      Cell Death Discovery

      巻: 7 号: 1 ページ: 380-380

    • DOI

      10.1038/s41420-021-00773-w

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] The effect of nicotine plus high fat on endothelial function2021

    • 著者名/発表者名
      Hideaki Kanki, Tsutomu Sasaki, Yan Haomin, Shintaro Sugiyama, Hideki Mochizuki
    • 学会等名
      日本神経学会2021
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi