研究課題/領域番号 |
21K15730
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
鐘本 英輝 大阪大学, 大学院医学系研究科, 講師 (20838932)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 認知症 / 統合失調症 / 高齢発症精神病 / アルツハイマー病 / レビー小体病 / 遅発性精神病 / アルツハイマー型認知症 / レビー小体型認知症 |
研究開始時の研究の概要 |
超遅発性統合失調症様精神病 (VLOSLP) は若年発症の統合失調症とは本質的に異なる様相を呈するが、その一部にはアルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症などの変性性認知症に進展する患者が存在するが、そのような経過を取らない例も存在し、多様な疾患からなる症候群であると考えられており、治療のエビデンスもほとんどないのが現状である。本研究ではVLOSLPの血液、脳脊髄液、画像バイオマーカーを横断的に収集することで背景にどの程度神経変性疾患が存在するかを確認・分類し、縦断的に治療経過を観察することで想定される背景疾患ごとに有効な治療法を模索する。
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研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、最遅発性統合失調症(VLOSLP)患者のリクルートおよび臨床症状・脳神経画像・血液・脳脊髄液などのデータ収集を進め、2024年3月末時点で52例の患者登録に至っている。これらの患者の多くで血液・脳脊髄液の採取も実施できており、順次バイオマーカーの測定を実施している。 VLOSLP患者の特徴をより詳細に把握するため、関連施設の浅香山病院において若年発症の統合失調症高齢者をリクルートし評価を実施しており、現在30症例のリクルート・評価を完了している。今後、これらのデータを用いて2024年度に学会発表・論文発表を予定している。 VLOSLPに関連するこれまで蓄積されたデータを元に、2023年度はVLOSLP患者において、一般的な認知症患者と同じ脳脊髄液アミロイドβのカットオフ値を用いて、アミロイドPETの結果を正確に予測することができることを英文誌で報告した(Satake Y, Kanemoto H et al. Psychogeriatrics 2023)。またVLOSLP患者における社会的孤立及び孤独に対する非薬物療法が奏功した症例についても英文誌で報告した(Kanemoto H, Kawasaki T. Cureus 2024)。また、VLOSLPからアルツハイマー型認知症にコンバートされたと考えられる症例の精神症状に関する症例について、和文誌で報告した(前西、佐竹、鐘本ら. 老年精神医学雑誌2023)。そのほか、2023年度は和文誌で総説を2編、国際学会でのシンポジウム1件、国内学会でのポスター発表1件、国内学会でのシンポジウム2件での発表を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画の3年間でVLOSLP患者60例のリクルートに対して、52例と若干の遅れが出ているが、当初計画に追加した若年発症の統合失調症高齢者を30例リクルートできており、全体として順調に進展している。血液・脳脊髄液バイオマーカー測定も順次実施できている。 論文・学会発表も継続的に実施できており、研究の進捗は概ね順調と考える。
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今後の研究の推進方策 |
当初予定していたVLOSLP60例のリクルートに向けて引き続き患者リクルートを進める。次年度で最終的なデータ解析、学会・論文発表として、現時点で①VLOSLPにおけるバイオマーカーの結果と治療反応性、②若年発症統合失調症高齢者とVLOSLP患者の臨床的特徴の比較、③高齢者における精神病のリスクと報告されている社会的孤立・孤独と幻覚妄想の関係について、これまでMCIを対象に収集したデータを用いて解析、の3つを中心に予定している。
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