研究課題/領域番号 |
21K15737
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
嶋田 貴充 金沢医科大学, 医学部, 非常勤講師 (70735349)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 統合失調症 / 社会機能障害 / 非罹患第1度近親者 / 遺伝的連続性 / 中間表現型 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、統合失調症患者、非罹患第1度近親者および健常者の3群を対象に、Social Functioning Scale Japanese version (SFS-J) を用いて社会機能を評価し、統合失調症における社会機能障害の遺伝的連続性の有無を評価する。本研究において疾患リスクの半数を保有し服薬や罹患期間などの交絡因子の影響を受けない非罹患第1度近親者に統合失調症患者と同様の社会機能障害の特徴を持つことが見い出せれば、統合失調症における社会機能障害は発症前から生じていると考えることができ、統合失調症の病態解明の一助となるだけでなく、早期介入・早期治療につなげることができると期待される。
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研究実績の概要 |
社会機能障害は統合失調症における中核症状のひとつと考えられており、統合失調症患者ではセルフケア、就労、学習および対人コミュニケーションなどに障害を示すことが多いとされている。しかしながら、統合失調症における社会機能障害が遺伝的連続性を有するかどうかについては十分な検討がなされていない。本研究では、統合失調症患者、統合失調症非罹患第1度近親者および健常者の3群を対象にJapanese version of the Social Functioning Scale (SFS-J) を用いて社会機能を評価し、統合失調症における社会機能障害の遺伝的連続性の有無を評価することを目的としている。本研究において、疾患リスクの半数を保有し服薬や罹患期間などの交絡因子の影響を受けない統合失調症非罹患第1度近親者に統合失調症患者と同様の社会機能障害の特徴を持つことを見い出すことができれば、社会機能障害は統合失調症における有望な中間表現型になり得るだけでなく、統合失調症の早期介入・早期治療につながることが期待される。現時点では、研究被験者のサンプル収集を進めている段階である。尚、本研究に関連した統合失調症における社会機能の予備的な研究を既に行っており、統合失調症患者36例におけるSFS-Jで評価した社会機能とJapanese version of Brief Assessment of Cognition in Schizophrenia (BACS-J) で評価した認知機能との関連を検討した結果、特定のサブスケール間 (SFS-Jの引きこもり・対人関係・就労とBACS-Jの言語流暢性、SFS-Jの娯楽とBACS-Jの運動機能) において有意な相関が存在することを報告した(Shimada et al. J Clin Med Res 2022)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、研究被験者のサンプル収集が進んでおらず、研究そのものに遅延が生じている。しかしながら、本研究に関連した予備的な研究を行うことはできており、以下の成果を得ている。①統合失調症患者36例における社会機能と認知機能の関連を検討した研究において、特定のサブスケール間 (SFS-Jの引きこもり・対人関係・就労とBACS-Jの言語流暢性、SFS-Jの娯楽とBACS-Jの運動機能) において有意な相関が存在することを報告した(Shimada et al. J Clin Med Res 2022)、②遅発性統合失調症症例において社会機能障害は認められなかったものの、脳脊髄液バイオマーカーにおいては軽微な総タウの増加とアミロイドβ1-42の減少が認められたため、遅発性統合失調症では神経病理学的基盤に認知症性の変化が存在している可能性があることを報告した(Shimada et al. Neurocase 2021)。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、通常業務が非効率化しており、研究時間の確保が困難な状況ではあるが、所属機関における研究環境の整備を進め、研究被験者のリクルートを継続して行っていく。研究被験者のサンプル数を増やし、統合失調症における社会機能障害の遺伝的連続性を明らかにしていく。最終的に、研究成果を学会や英語論文にて発表する予定である。
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