研究課題/領域番号 |
21K15751
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
中島 明日香 順天堂大学, 医学部, 准教授 (40812459)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | 強迫性障害 / 脳深部刺激療法 / 恐怖条件づけ / 大脳基底核回路 / 大脳基底核 |
研究開始時の研究の概要 |
強迫性障害(OCD)は一般人口中の生涯有病率が1~2%程度とされ本邦でも100万人強の患者が推定されている。今日まで病態生理は明確にはされておらず、標準的な治療法は薬物療法と認知行動療法であるがこれらの治療に対して抵抗性をきたす患者が全体の10~20%存在する。欧州では既にこのような治療抵抗性の患者に対して脳深部刺激療法(DBS)が行われているが、本邦では導入に至っていない。OCDの病態生理や精神疾患に対するDBSの効果作用機序が未解明ということが問題と言える。 本研究ではこの問題解決を目的に、基礎実験を軸としたニューロモデュレーション治療の概念を用いたOCDの病態解明を最終目標とする。
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研究実績の概要 |
令和4年度は強迫行為モデルラットを用いて強迫行為の評価および単一神経細胞活動の記録・解析をおこなう予定であった。しかし、前年度の実験の進捗状況を鑑みて正常ラットによる高頻度刺激下での強迫観念に対する評価を行なった。 正常ラットに定位脳手術的手法を用いて、脳への刺激用電極挿入のためのチャンバーを設置し、恐怖文脈条件づけ課題を施行した。課題の施行中にラットの視床下核(STN)に刺激用電極を用いて高頻度刺激(130Hz, 60μs, 0.9-1.0mA, 15sec)をおこなった群(n=7)とコントロール群 (n=7)にわけ高頻度刺激の恐怖反応の影響を評価した。 STN-DBS群では3匹、コントロール群では4匹に行動実験後の恐怖行動の改善を認めたが、両群間での改善度に統計学的な有意差は認められなかった(Wilcoxon signed rank test)。 この恐怖反応の変化は既にOCDの強迫観念に関する評価方法として用いられている。先行研究では分界条床核(BNST)群での高頻度刺激ではコントロール群と比較して強迫行動の改善を認めているが本研究でのSTN刺激による改善は認められなかった。近年では神経心理学的研究や脳画像研究からOCDの病態生理のひとつとして大脳基底核を主軸としたOCDループ仮説が提唱されている。OCD-DBSではループ仮説に関与する、腹側線条体、BNST、側座核、STNが刺激ターゲットとして用いられている。いずれの刺激部位でもOCD症状の改善を認めているが、OCDループに対してDBSが電気生理学的にどのような作用を及ぼしているのか、どのターゲットでの刺激が最も症状を改善させるかは明確にはされていない。今回の結果からはOCDに対するSTN-DBSでは刺激する大脳半球の左右差による効果発現の違いや、STN-DBSによる臨床効果はBNST-DBSより劣る可能性が考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度も行動実験に必要な資材の納品がcovid-19感染症やウクライナ情勢の影響により遅れたため実験の開始が遅れてしまった。そのため、年度内での実験の完了は難しく次年度も引き続き行っていく方針である。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定ではBNSTにも刺激電極を挿入し、STN-DBS群、BNST-DBS群、コントロール群の間で行動実験を評価する予定であった。また、今年度はラットにドパミンD2受容体アゴニストであるquinpirole(QNP)を投与し、OCDの強迫行為のpreclinicalなモデルラットとしてQNPモデルラットおよび正常ラットを用いてSTNまたはBNSTの高頻度刺激を行いながら下流に位置するEntopeduncluar Nucleus (EP)に単一細胞外記録を行い応答の変化を評価する予定である。この研究により、脳内バイオマーカーと成り得るような異常な神経細胞活動の同定や神経伝達物質を明らかにすることを目的とする。
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