研究課題/領域番号 |
21K15762
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
城野 悠志 山梨大学, 大学院総合研究部, 臨床助教 (80803973)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 血流解析 / 4D-flow MRI / 大動脈解離 / 大動脈瘤 / 統計解析 / 4D CT / 流体ファントム / 流体シミュレーション / ULP |
研究開始時の研究の概要 |
大動脈解離は偽腔血流に基づき偽腔開存型と偽腔閉塞型に大別される。後者は比較的予後良好で基本的には保存的に加療されるが、偽腔内へ突出する血流(Ulcer-like projection; ULP)が生じることがあり、この場合は経過不良例が多いためULP型として特に注意されている。しかしULP型解離の予後因子は解明されておらず、フォローアップ間隔や手術適応などは明確に規定されておらず、治療方針決定は各臨床医の主観や経験則に依存せざるを得ない状況にある。 本研究では4D-flow MRIおよび流体シミュレーションを用い、ULP型解離の予後因子解明を目的として血流解析を行う。
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研究実績の概要 |
大動脈解離や大動脈瘤(解離性を含む)の症例を引き続き収集している。これまでに4D-flow MRIや流体シミュレーションに加え、4D CTを使った血流解析も行っている。 4D-flow MRIの解析で問題となっていた流量計測エラーについては、流体ファントム(直管モデルと大動脈瘤モデル)と脈流ポンプを使って検証を行った。具体的には、ファントム内で定常流と非定常流(心拍出モデル)を再現し、流量計の測定値と4D-flow MRIの解析結果を比較した。その結果、特に大動脈瘤モデルで4D-flow MRIの計測エラーが確認され、撮像パラメータ(velocity encoding, VENC)によってエラーの程度が大きく変化することが分かった。計測エラーは流体の辺縁に多く生じるため、評価範囲から辺縁を除くと誤差が軽減された。これらの結果をまとめた英文論文が国際学術誌(Radiologic Technology)に受理された。 また、基礎検証と並行して、大動脈疾患(ULP型解離を含む)の臨床経過と血流解析結果(4D-flow MRI、流体シミュレーション、4D CT、血管造影)を比較することで、血行力学的な予後因子の探索も行っている。その結果、大動脈壁に作用するずり応力(wall shear stress, WSS)が予後因子の候補である可能性が示唆された。特に、大動脈解離に対するステントグラフト挿入後にグラフト遠位で新たなエントリーが発生するリスクとWSSとの関連について、国際学術誌(Case Reports)で症例報告を行った。 データ評価に有用な統計解析に関する研究も行い、新規検定法(OVL-q)を考案して国際学術誌(Journal of Mathematical Sciences, the University of Tokyo)で2報発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
流体ファントムを用いた4D-flow MRIの基礎検証が一段落し、その結果をまとめた英文論文が国際学術誌(Radiologic Technology)に受理された。 大動脈解離における血行力学的な予後因子の探索/検証も順調に進み、ステントグラフト挿入を行った症例の興味深い解析結果について国際学術誌(Case Reports)で報告することができた。 本研究に関連する統計解析についても研究開発を行い、新規検定法(OVL-q)を考案して国際学術誌(Journal of Mathematical Sciences, the University of Tokyo)で2報発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
大動脈解離(ULPを含む)に対してステントグラフト挿入を行った症例をさらに蓄積し、偽腔へのリエントリー再発リスクと血行力学的因子(特にWSS)との関連について検証を行う予定である。 関連する統計解析についても新規手法を考案中であり、今年度中に論文発表することを目指す。
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