研究課題/領域番号 |
21K15786
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
與儀 彰 琉球大学, 病院, 准教授 (80510718)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | early CT sign / 急性期脳梗塞 / ノイズ除去 / CT / SafeCT / ノイズ低減 |
研究開始時の研究の概要 |
正常な頭部CT画像を用い、急性期脳梗塞の判定を行うAlberta Stroke Program Early CT Score(ASPECTS)の10か所の部位でROI解析を行い、皮質/灰白質濃度比を計測する。SafeCTによるノイズ低減処理により、early CT sign判定で重要となる灰白質/白質濃度比が有意に上昇するか確認する。 続く読影実験では実際の症例画像にSafeCTでノイズ低減処理を行い、early CT signの検出率および判定者の自信度が有意に上昇するか、そして評価に要する時間が有意に短縮されるかどうか判定する。Kappa検定を用いて検者間一致率も判定する。
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研究実績の概要 |
「SafeCTのノイズ除去処理によるearly CT signの描出改善の検討」として院内倫理審査委員会からの承諾を得た。新型コロナ禍による業者の立ち入り制限によって設置が遅れたが、令和3年10月にSafeCTを院内に設置した。その際、臨床目的で撮影された頭部CTを検討に用いるため、琉球大学病院放射線部、琉球大学病院診療情報管理室、当院RISのメーカーである富士フイルムメディカル株式会社と調整し、SafeCTをPACSに接続し、SafeCTで処理した研究用画像は富士フイルムメディカル株式会社のワークステーションにストアする運用を確立した。 現在までに27症例(43梗塞巣)の頭部CTに対してノイズ除去を終了している。現時点で視覚評価を行った。臨床で用いる5mmスライス厚の画像(5mmグループ)、スライス厚0.625mmの元画像(thin-sliceグループ)、ノイズ除去処理を行った画像(SafeCTグループ)の3群を用意し、1名の放射線科医がearly CT signの範囲の評価を行った。reference standardをDWIまたはフォローCTとし、梗塞巣の範囲の一致率を3段階(スコア1:検出されず、スコア2:一部が検出された、スコア3:完全に一致して検出された)で評価した。また評価に要した時間も記録した。これら3段階評価と評価に要した時間を、それぞれFriedman test、one-way ANOVAにて評価した。その結果、一致率は群間で有意な差を呈し、SafeCT群が最も好成績だった(p < 0.03)。検出に要した時間も3群間で有意な差を呈し(p < 0.00001)、さらに多重比較でSafeCT群が最も短時間で検出していた(Tukey test, p < 0.03)。よってSafeCTがearly CT signの描出、評価に有用であることが示されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ禍によって業者の立ち入りが制限され、SafeCTソフトの導入が遅れてしまった。ほんの直前まで立ち入り制限がかかっていた状況で、昨年度もソフトの最適化がやや遅れてしまった。 依然として新型コロナ関連による診療業務の圧迫があり、また病院移転に伴う中央管理業務も増え、十分な研究時間を確保することがやや困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
解析を進めて行くにあたり、SafeCTのノイズ処理効果が部位によってばらつくことを経験した(後頭蓋窩のノイズ処理は適切に行われていない傾向にある)。現在は当施設での症例をさらに増やし、より大きな標本での多変量解析を進めることを検討している。 またSafeCTはベンダーフリーでノイズ処理を行うため、複数メーカの頭部CTに対してノイズ処理を行い、early CT sign の描出が改善されるかどうかも検討したい。
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