研究課題/領域番号 |
21K15805
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
渡邉 翼 京都大学, 複合原子力科学研究所, 特定准教授 (30804348)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | ホウ素中性子捕捉療法 |
研究開始時の研究の概要 |
ホウ素中性子捕捉療法とは中性子をホウ素原子が取り込み起こる核反応を用いて、正常組織にはほとんど影響を与えず病気にのみ放射線を照射する治療法です。これまでホウ素中性子捕捉療法は多くの方が困っている癌に対する治療として研究が進んできましたし、未ださらに癌をより良く治療できるようにホウ素中性子捕捉療法の領域で研究開発が進んでいます。しかし、人間の病気は癌だけではなく、癌以外にもなかなか治らずに苦しい思いをする疾患も多くあり、癌も他の難治性疾患も等しく人類の敵です。この研究では癌治療として発展してきたホウ素中性子捕捉療法を難治性の他疾患にも適応できるようにするための技術基盤を開発したいと考えています。
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研究成果の概要 |
抗体1分子あたり約3.8個のモジュールを結合させることができた(抗体1分子あたり約46個のホウ素原子)。。コンセプト検証を行うため簡便に抽出ができるCD8+T細胞を最初の標的とし、マウス脾臓からCD8+T細胞の細胞分離を行った。抗CD8a抗体のホウ素化を行いCD8+T細胞へ結合させ、中性子の照射を行った。CD8+T細胞のCD8a蛋白の発現は通常のタンパク質よりも量が少なく9万個であり理論上3%の確率でホウ素中性子捕獲反応が起こる。中性子照射後のアポトーシスをフローサイトメーター・RNA測定を用いて評価すると、理論値とほぼ一致し平均2.8%のアポトーシス細胞の増加が認められた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
既報のホウ素化抗体は、結合させられるホウ素クラスターの量が少なかったが、今回我々が開発したホウ素化モジュールによる抗体のホウ素化により抗体の抗原認識を損ねることなくより多くのホウ素原子を抗体に結合させることができた。ホウ素中性子捕捉療法は現在アミノ酸誘導体を主体としたホウ素薬剤のみが臨床応用可能であるが、抗体を用いた任意の細胞に対するホウ素原子の送達が可能となれば、ホウ素中性子捕捉療法の対象疾患を拡大することができる。今後、本モジュールのさらなる改良を目指し、より多くのホウ素原子を薬物送達の担体となる抗体へ結合させ、臨床応用の可能性を検討する。
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