研究課題/領域番号 |
21K15806
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 静岡県立静岡がんセンター(研究所) (2023) 京都大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
井上 実 静岡県立静岡がんセンター(研究所), その他部局等, 研究員 (20826010)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | がん / 放射線治療 / 血清アルブミン / フェロトーシス / 脂質過酸化 / 酸化ストレス / 遊離チオール / シスチン・グルタミン酸交換輸送体 / がん転移 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、放射線治療中に生じる血管内酸化ストレスが遠隔転移リスクとなることに着目し、放射線治療過程の血管内酸化ストレスの生成機構の解明(目的①)、及び同ストレス下でがん細胞が転移形質を獲得するメカニズムの解明(目的②)を目的とする。本研究を通じて、循環レベルの酸化ストレスという新たな観点から高転移リスク症例の抽出が可能となり、転移リスク低減のための創薬シーズの創出に貢献できると考える。
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研究成果の概要 |
本研究では、血管内酸化ストレスの指標として血清アルブミン(HSA)のシステイン34(Cys34)の酸化還元状態に着目し、分化型甲状腺がん(DTC)の予後に与える影響およびその作用機序を明らかにした。具体的には、DTC患者を対象としたコホート研究を通じて、還元型のHSA-Cys34(HMA)高濃度群は低濃度群と比較し、無増悪生存期間が長いことを明らかにした。また、In vitroの実験を通じて、HMAはDTC細胞にフェロトーシスを誘導することを明らかにした。以上より、HSA-Cys34の酸化還元状態は、DTCにおける予後因子および治療標的として有望であり、個別化治療戦略の発展に寄与し得る。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
血清アルブミン(HSA)システイン34(Cys34)の酸化還元状態が、分化型甲状腺がん(DTC)細胞に脂質過酸化を介したフェロトーシス誘導に関与することを明らかにした本研究は、今後、フェロトーシスの新規誘導メカニズム解明およびその応用に関する基礎研究の進展という学術的意義を有すると考えられる。また、本研究ではDTC症例においても、還元型のHSA-Cys34(HMA)が無再発生存期間延長と関連することを明らかにしたため、HSA-Cys34の還元を促進する治療法の開発等を通じて、DTC患者の予後改善に寄与し得るという社会的意義を有している。
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