研究課題/領域番号 |
21K15816
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
平野 靖弘 獨協医科大学, 医学部, 講師 (50593191)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 髄膜播種 / 全脳照射 / 血漿遊離腫瘍DNA / 中枢神経系転移 / 遺伝子変異 |
研究開始時の研究の概要 |
肺癌の中枢神経系転移に対する放射線治療の効果は症例で異なる。 薬物療法耐性化後に生じた新たな遺伝子異常が放射線治療に対する交叉耐性に関与し、複数の遺伝子異常の組み合わせが予後に影響を及ぼすと想定されており、治療効果の違いを生む可能性があるが詳細は不明である。 本研究では肺癌中枢神経系転移例に対し、全脳照射前・後の血漿を用いた遺伝子パネルによるcirculating tumor DNA解析を行う。 肺癌診断時以降の治療経過中に獲得した様々なゲノム異常を捉え、その推移と治療効果・予後との関係を調べ、分子プロファイルと全脳照射の治療効果の関係を明らかにする。
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研究実績の概要 |
研究課題の対象症例である肺腺癌の髄膜播種に全脳照射を施行した症例について2022年米国放射線腫瘍学会学術大会でポスター発表した。 国立がん研究センター東病院で2013年6月から2021年6月までの期間に肺腺癌の髄膜播種に全脳照射を施行した80症例の予後について後方視的に検討した。 79症例(98.8%)は脳脊髄液細胞診は施行されず画像所見により髄膜播種と診断された。全生存期間は全脳照射開始日を起算日とし、あらゆる原因による死亡日までの期間と定義した。パフォーマンスステータス、年齢、性別、EGFR変異とALK転座の有無、脳転移の有無、頭蓋外転移の有無、原発巣制御、全脳照射施行前の化学療法施行の有無を予後因子として検討した。 観察期間中央値(範囲)は5.2か月(0.5-56.5か月)であった。全生存期間中央値(範囲)は6.2か月(95%信頼区間; 4.4-12.4か月)であった。EGFR変異陽性またはALK転座陽性の群が遺伝子変異陰性の群より有意差をもって予後が良好であった。また髄膜播種に対する全脳照射施行例の予後因子と全生存期間の関連については、単変量解析でパフォーマンスステータスが0-1、原発巣制御の群においても有意差をもって予後が良好であった。 多変量解析ではパフォーマンスステータスが0-1、EGFR変異陽性またはALK転座陽性の群で有意差をもって予後が良好であった。 髄膜播種に対する全脳照射後の予後は不良であるが、パフォーマンスステータスが0-1、原発巣制御、EGFR変異陽性またはALK転座陽性の患者において長期予後との関連が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年10月に国立がん研究センター東病院から獨協医科大学埼玉医療センターへ異動となった。獨協医科大学埼玉医療センターでの肺腺癌の中枢神経系転移症例への全脳照射施行症例が少なく、研究課題に必要な症例数を確保できない可能性が高い。
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今後の研究の推進方策 |
獨協医科大学埼玉医療センターだけでは症例集積が限られるため、多施設共同研究とすることを検討している。頭蓋外病変が制御された肺腺癌中枢神経系転移症例に対し全脳照射を施行した症例を倫理審査承認後に登録し、全脳照射前および全脳照射後に血液を採取し、DNAを抽出する。
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