研究課題/領域番号 |
21K15826
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
坂田 昭彦 京都大学, 医学研究科, 助教 (10838981)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 脳腫瘍 / 低酸素 / 糖代謝 / PET / MRI |
研究開始時の研究の概要 |
核医学検査は、脳腫瘍内の糖やアミノ酸などの代謝、低酸素領域やホルモンレセプターの発現といった生物学的な特性を観察するために用いられてきた。しかし、こうした生体内の代謝・微小環境の情報と神経膠腫の遺伝子変異を含めた悪性度との関連性は十分に検討されていない。本研究では、MRI、糖代謝を反映する18F-fluorodeoxyglucose (FDG)-PET、低酸素領域に集積する18F-fluoromisonidazole (FMISO)-PETから得られる様々なイメージング・バイオマーカーを組み合わせ、神経膠腫の分子生物学的悪性度の診断や予後予測モデルの作成を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は、isocitrate dehydrogenase-1(IDH1)変異によって生じる腫瘍内代謝および微小環境の変化に着目し、MRIから得られる種々のイメージング・バイオマーカーに、PETを用いた糖代謝および低酸素イメージングを組み合わせることで、神経膠腫における分子生物学的プロファイルの評価法の確立を目指すものである。 今年度はまず、前年度の検討の結果を学会発表の後、論文としてまとめ、学術誌に投稿した。 さらにIDH1野生型低悪性度神経膠腫において、予後不良因子として知られるtelomerase reverse transcriptase promoter(TERTp)変異と各種イメージングの相関について検討を行った。当院で手術が行われた59名のIDH1野生型の低悪性度神経膠腫を対象に、形態的な特徴に加え、MRIおよびFDG-PETから得られる血管増生・細胞密度・糖代謝を反映した各種バイオマーカーを半定量的に解析し、これらを用いたTERTp変異の予測モデルの創出を試みた。結果的には、一部のサブグループを除き、IDH1野生型低悪性度神経膠腫におけるTERTp変異の有無と上記定性的・定量的バイオマーカーの間には有意な相関は得られなかった。その理由としては、上記半定量的なイメージングバイオマーカーが、血管増生や細胞密度といった組織学的悪性度の影響を受けやすいことがその理由と考えられた(上記遺伝子変異の有無と一般的な組織学的悪性度は必ずしも一致しないため)。本研究の結果はすでに論文としてまとめ、学術誌に投稿・受理されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度得られた結果はいずれも学会発表を行い、論文として投稿中もしくは受理済みである。 また上記に加え、FMISO-PETにて腫瘤内の低酸素状態を描出し得た結核腫の一例についても症例報告を行った。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、当院において18F-FDG-PET/MRIの撮影と18F-FMISO-PET研究への参加を呼び掛け、脳腫瘍内の低酸素と糖代謝の関連についても検討を進めていく。 さらに、上記と並行して、神経膠腫におけるTERTpやIDH1以外の遺伝子変異と各種画像の相関についてもさらなる検討を進めていく予定である。
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