研究課題/領域番号 |
21K15848
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
伊藤 高広 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (60285369)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 大腸癌深達度診断 / トモシンセシス / 注腸X線診断 / 大腸癌 / 深達度診断 / 側面変形 |
研究開始時の研究の概要 |
大腸癌の治療方針決定には深達度診断が重要であり、特に粘膜下層への浸潤距離は、治療方針に直結する。現在cT1以下の大腸癌の深達度診断についてガイドラインに記載されている内視鏡以外の検査法としてはX線造影検査のみだが、適切な側面像のX線撮影が困難となることを日常臨床で経験している。トモシンセシス撮影では、1回の撮影により任意の高精細断層画像の再構成が可能であり、患者コンディションに関わらず高精査な側面画像が得られる。本研究の目的は、トモシンセシス撮影による大腸癌の側面変形の新たな診断基準を提唱し、cT1高度浸潤癌に対する適切な治療選択へ寄与する新たなモダリティとして確立させることである
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研究成果の概要 |
大腸癌術前深達度診断におけるトモシンセシス(デジタル断層撮影)の有用性について検討した。早期大腸癌のうち深達度が粘膜内および粘膜下1mmまで(T1a)は内視鏡治療、それをこえると(T1b)外科治療が原則となる。手術または内視鏡的切除で深達度が確定した50例の早期大腸癌についてトモシンセシスを用いて病変の立ち上がり角度、側面変形を評価した。T1b癌の立ち上がりの平均の角度は29度、側面変形は43例中33例で弧状変形を示した。従来の撮影との比較を視認性において5段階で評価したところ、43例中20例で従来法より優れており、劣ると判定したのは1例のみであった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
がん死亡原因の上位を占める大腸癌の治療方針決定において、特に内視鏡治療と外科的治療の境目となるT1b(SM高度浸潤癌;SM浸潤距離1000ミクロン以上)の判定はきわめて重要である。内視鏡診断が高度に進歩した現在においても大腸癌治療ガイドライン2022年版においてはcT1高度浸潤癌の診断指標として内視鏡所見以外にX線造影検査を参考にする旨が記載されている。ただし、その検査手技・診断能力の修得には熟練を要するだけでなく、受検者の身体能力が求められる内容であり、高齢化が進んだ現在、低侵襲で詳細かつ簡便な診断が可能となるトモシンセシスを活用したX線検査法の果たす役割は重要と考えられる。
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