研究課題/領域番号 |
21K15892
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
渡邉 昂 川崎医科大学, 医学部, 助教 (60817071)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | クラッベ病 / サイコシン仮説 / ガラクトシルセラミド / マクロファージ / ミクログリア / スフィンゴ脂質 / サイコシン |
研究開始時の研究の概要 |
クラッベ病(KD)はガラクトシルセラミド(GalCer) β-ガラクトシダーゼ(GALC)の欠損による遺伝性脱髄疾患で、脱髄の主な原因はGalCerのリゾ体であるサイコシンの蓄積とされてきた。我々は、酸性セラミダーゼの活性化タンパク質であるサポシンDの欠損マウスとKDモデルマウス(Twitcherマウス、Twi)を交配したKDモデルマウス(SapD KO/Twi)が、サイコシンが正常化するにも関わらず、Twiと同等の脱髄とグロボイド細胞の浸潤を認めることを見出した。本研究では、「サイコシン仮説」に代わるクラッベ病発症の新規メカニズムの提唱と新たな治療法開発を目指す。
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研究成果の概要 |
クラッベ病(グロボイド細胞白質ジストロフィー)はガラクトシルセラミド (GalCer)のリゾ体であり細胞毒性の高い脂質であるサイコシンが、オリゴデンドロサイトやシュワン細胞に蓄積し脱髄を引き起こす“サイコシン仮説”によって長い間説明されてきた。我々は、サイコシンはGalCerが酸性セラミダーゼとその活性化タンパク質であるサポシンDによって分解され産生されること、サポシンDを欠損することでサイコシンが蓄積しなくなったクラッベ病モデルマウスにおいても、特に末梢神経の脱髄や神経炎症、寿命が回復しなかった。従って、クラッベ病の悪化にはサイコシンだけでない別のメカニズムが存在することを明らかとした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
クラッベ病はGalCer β-ガラクトシダーゼ (GALC)の遺伝的変異による先天性の脱髄疾患であるが、そのメカニズムは未だ不明な点が多い。本研究において、サイコシンを蓄積しないTwi/Sap-D KOマウスにおいて、特に末梢神経の脱髄病変が改善しなかったことから、クラッベ病の神経病態はサイコシンの蓄積だけでは説明できず、GalCerによるGALC欠損マクロファージ/ミクログリアの活性化に起因する神経炎症が重要な役割を果たしている可能性が示唆される。このように、クラッベ病の病態理解は今後の治療法開発において重要な意義がある。
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