研究課題
若手研究
染色体不安定症候群では、DNAの二重鎖切断(DSB)が生じた際の修復応答を構成する遺伝子群の異常により小脳失調、成長障害と易感染性,高発癌性等の症状を示す。DNA損傷時の修復応答経路の詳細が明らかになりつつあるにも関わらず、構成する遺伝子の機能不全に対する根治治療はまだ確立されていない。DNAにDSBが生じた際に活性化されるATMシグナルパスウェイ上にある遺伝子A及びBの機能不全が予測される家系をそれぞれ同定した。DNA修復機構を構成する遺伝子の機能異常により引き起こされた疾患病態を解明することは、それぞれの遺伝子群の相関関係を明らかにし、診断及び治療法確立に大きく寄与すると期待される。
本研究では、ATMシグナルパスウェイ上の2遺伝子に同定したバリアントの機能評価として行ったin vitroでのRNAシークエンスでは、下流遺伝子の著明な発現変化は検出できなかった。原因不明の神経発達障害・免疫不全症を含む45家系に対し特にATMシグナルパスウェイ上の遺伝子に着目し、全エクソーム解析にて同症・類症の探索を行った。ATMシグナルパスウェイ上以外にも神経発達障害の原因遺伝子を検出することができた。また、ATMシグナルパスウェイに強く関連するUBA1遺伝子の体細胞バリアントは、VEXAS症候群の原因である。本疾患のバリアント検出、検出法、自己炎症、造血障害の詳細な表現型も明らかにした。
原因不明の先天性疾患の遺伝学的病態が解明されることで、新たな治療法開拓にも大きくつながる。また、既知疾患の遺伝学的診断がなされることにより、今後の経過の予測や、治療方針の決定に寄与することができる。効率的なバリアント検出法の確立により、より簡便に、そして精度高く診断可能となり、非常に有意義である。
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すべて 雑誌論文 (12件) (うち国際共著 2件、 査読あり 12件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (1件)
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