研究課題/領域番号 |
21K15917
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
坪井 真代 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40895421)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 胃癌 / 胃炎 / 腸上皮化生 / 免疫応答 / マウスモデル / オルガノイド / 萎縮性胃炎 |
研究開始時の研究の概要 |
胃癌は慢性胃炎による腸上皮化生変化を母地に発生するが、これまでのマウス胃炎モデルでは、腸上皮化生や胃癌を発生することは極めてまれである。本研究では新規に作成したマウス腸上皮化生モデルを用い、既存のモデルとの差異を検証し、慢性胃炎から腸上皮化生への変化に必須な分子学的機序の解明を試みる。さらに、三次元オルガノイド培養とゲノム編集技術により、胃内の解剖学的部位による腸上皮化生変化への感受性の差異とその機序を明らかにする。胃上皮の腸上皮化が誘導されるメカニズムを正確に理解すること、及びヒト胃炎~腸上皮化生~胃癌発生にいたる多段階発癌の病態解明と新規治療開発に貢献することを目的とする。
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研究成果の概要 |
腸上皮化生モデルマウスを用いて胃体部腸上皮化生の特徴と発生機序を検討した。RNAシークエンスとCyTOF/FACSによる解析から、腸上皮化生には免疫応答は重要な要素ではなく、マウスモデルでも同様の結果が得られた。これまでの研究でRas/MAPK経路の活性化が必要であることが示されており、胃壁細胞を選択的に減少させたマウスとT1-Cdx2マウスを交配し、Notch阻害薬を投与したところ、胃体部に腸上皮化生が発現した。Krasの活性化とNotch抑制の両方が胃体部の腸上皮化生発現には必要な可能性が示された。これらの研究成果は、胃癌や腸上皮化生のメカニズムを理解する知見を示している。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
腸上皮化生は発がんの過程で、胃に生じる変化であるが、その意義や発生機序は明らかでない。多数ある胃炎マウスモデルを多角的に解析することで、腸上皮化生の発生、進展においては胃炎における獲得免疫応答は重要な要素ではないことを示した。 ヒトの腸上皮化生を呈する既報の胃炎モデルはないなかで、新規腸上皮化生マウスモデルを樹立した。さらに、胃体部の腸上皮化生発生機序にRas/MAPK経路活性化が重要な役割をもつことを示した。 胃炎・胃癌の発生メカニズムには未知の点が多い中で、ヒト胃炎~腸上皮化生~胃癌発生に至る多段階発がんの病態理解、新規治療開発に貢献しうる成果を示した。
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