研究課題/領域番号 |
21K15928
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
大浦 杏子 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (80834639)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 肝細胞癌 / microRNA / 分子標的治療薬 / 薬剤耐性 / Atezolizumab / Bevacizumab |
研究開始時の研究の概要 |
まずHCC細胞株を用いた基礎研究を行い、分子標的治療薬によって細胞内外で変化する血管新生分子群とmiRNAを網羅的に解析する。次にHCC患者の臨床検体を用いた検討を行い、治療前後の血清サンプルにおいてmiRNAの変化を解析する。分子標的治療薬の制御機構と関連するmiRNAを解析することによって、治療効果・薬剤耐性を早期予測し、治療成績向上につながるバイオマーカーを同定する。薬剤耐性に関連するmiRNAを標的とした治療戦略の可能性についても検討する。
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研究実績の概要 |
Atezo/Beva療法を行ったuHCC患者66名を対象とし、6週後の造影CT結果をmodified RESISTで評価し、奏功群(CR+PR)と非奏功群(SD+PD)に分けて検討した。治療経過中の血清を用い、2555分子のmiRNAをmicroarrayおよびRT-PCRで測定し、VEGFはELISA法で定量した。In vitroでは、HCC株であるHuH-7と血管内皮細胞株であるHUVEC、共培養した細胞を用い、miR-485-3pをtransfectionし、scratch assayで細胞遊走能・増殖能を経時解析した。PIAS3/STAT3/VEGF signalの変化について、mRNA発現はRT-PCR、蛋白発現はWestern blotで解析した。 背景は男性46名, 女性20名、平均年齢75.5±9.5歳、背景肝はHBV4名, HCV22名, NBNC40名、一次治療43名, 二次治療20名, 3次治療以降3名であった。Child-Pugh A/B=50/16名、臨床病期はcStage III/IVa/IVb=40/11/15名、Barcelona clinic liver cancer staging B/C=35/31名であった。奏功群44名と非奏功群22名を比較すると、奏功群群では治療開始前に10分子のmiRNAが有意に上昇し、特にmiR-485-3pは非奏功群より高値であり、翌日および3週後でさらに上昇した。治療療開始前の血清VEGF値 は有意差がなかったものの、翌日には両群ともに検出感度以下まで低下し、3週後/治療開始前比は奏功群が非奏功群が有意に低かった。多変量解析では、6週後の治療効果に関連する因子は治療開始前の血清miR-485-3p高値、治療開始3週後のVEGF上昇が有意に抽出された(p<0.05)。In vitroでは、miR-485-3pのtransfectionによってHuH-7およびHUVEC細胞遊走能・増殖能が抑制され、PIAS3発現が増強、STAT3/VEGF発現が抑制された。共培養した細胞ではPIAS3/STAT3/VEGF signalがより顕著に変化した。 Atezo/Beva併用療法において、血清miR-485-3pはVEGFより鋭敏に変化するため、早期治療効果を予測するのに有用である。PIAS3/STAT3/VEGF signalが関連しており、今後バイオマーカーや創薬開発に臨床応用できる可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り研究をすすめることができている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度までは順調に進展しているので、miRNAの機能的解析をもう少し詳細に行いたいと考えている。
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