研究課題
若手研究
肝がんは治療後においても再発、転移が高率であり、再発予測と制御が重要な課題である。がん組織より血中に遊離する循環腫瘍細胞(CTC;circulating tumor cell) は新たな診断・予後予測のバイオマーカー候補である。本研究ではCTCの遺伝子発現解析による肝がんの進展・転移リスク予測評価法の構築を目的とする。CTC遺伝子発現群による新規肝がんリスク診断法を開発する。CTC解析による再発、転移リスク評価法開発は、再発、転移制御を目的とした個別化医療への応用、展開が期待される。
本研究では、肝がんに対するAtezolizumab-Bevacizumab併用療法における血中循環腫瘍細胞の定量性、遺伝子発現について評価した。PR・SD群のCTC数は治療経過で減少し,PD群と比較し有意に低値であった。NGSによるCTC遺伝子発現解析では治療経過において上皮間葉転換,幹細胞性や増殖能などがん進展に関連する99遺伝子の発現の変動が確認され、階層的クラスタリング解析により治療効果良好PR・SD群と不良PD群の2つのクラスターに層別化された。パスウェイ解析ではPR・SD群でアポトーシス関連シグナル経路遺伝子,PD群でTGF-βシグナル経路関連遺伝子の発現が有意に上昇していた。
本研究課程においてAtezolizumab-Bevacizumab併用療法肝がん症例における血中循環腫瘍細胞の定量性、遺伝子発現について解析可能であった。その結果、治療経過に応じてCTC定量性の変動が確認された。また、CTC遺伝子発現解析により免疫療法奏効例においてアポトーシスシグナル経路が亢進している一方、TGF-βシグナル経路の活性化が免疫療法中の治療耐性において重要な役割を担っていることが示唆された。以上の結果より、肝癌複合免疫療法中におけるCTCはがん進展・治療耐性をきたすがん細胞プロファイルを明らかにする有用なバイオマーカーとなる可能性が示された。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 4件)
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