研究課題
若手研究
酸化ストレスが発症要因の1つと考えられているサルコペニアは、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の発症、肝線維化の進展や合併症の発症に関与しており、その予防は非アルコール性脂肪肝炎 (NASH)の重要な治療である。本研究ではNAFLD/NASH患者において、抗酸化に重要な役割を果たしている還元型・ 酸化型アルブミン(ヒト血清アルブミンの翻訳後修飾体)のモニタリングを行い、体組成や筋力との関連を明らかにすることを目的とする。さらにその結果に基づき、サルコペニアの治療効果や予後予測に関するバイオマーカーを見いだすことで、酸化ストレス制御を介した治療を確立することが最終目標である。
MAFLD/NASH患者の臨床像と還元型・酸化型アルブミン及びAOPP量の関連について計87症例に対して検討した。筋力および体組成に関する因子(握力、筋肉量、体脂肪率、筋肉量)について相関解析を行ったところ、握力はHMA量と強い相関を呈し、筋肉量はAOPPsと強い相関を、HMA量と中程度の相関(r=0.523)を呈していた。動物実験モデルを対象とした検討については、コリン欠乏高脂肪食マウスを用いて、NASH単独での評価を行った。また、加齢マウスに高脂肪食を8週投与して作成したマウスについてもNASH+サルコペニアモデルとして同様の評価を行った。後者において握力が低い傾向にあった。
我々の検討によりAOPPsや還元型アルブミンがMASLD/MASH患者に関連したサルコペニア予備軍の早期診断に有用なバイオマーカーであることが示唆された。MASLD/MASH患者では、健常人と比較してサルコペニアの合併率が有意に高い。またサルコペニアはそれ自体がMASLDのリスク因子であるだけでなく、MASHや肝線維化進展に関与する因子であることや肝硬変患者の死亡リスクを約2倍高めることなどが明らかになっており、MASH関連サルコペニアにおける早期診断マーカーや治療法の開発が求められている。今後はこれらがサルコペニアに関与するメカニズムについて検討が必要である。
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