研究課題/領域番号 |
21K15959
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
林 秀幸 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任講師 (60787810)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 膵癌 / 全エクソン解析 / がんゲノムプロファイリング検査 / プレシジョンメディシン / 遺伝子解析 / 膵がん / 個別化治療 / がんゲノム医療 / ターゲットシークエンス / クリニカルシークエンス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の概要は膵がんを対象に現行のがん遺伝子パネル検査に代わる新たな手法として、従来、研究用途で施行されてきた全エクソン解析の臨床的有用性を評価し、同検査を臨床実装すること、さらには全エクソン解析から得られた新規膵がん関連ゲノム情報を用いた膵がんプレシジョンメディシンにおける次世代治療戦略を確立することである。
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研究実績の概要 |
本年度(2023年度)は当院で全身化学療法を実施した膵がん107症例において全エクソン検査を含めたがんゲノムプロファイリング検査の実施の有無が予後の改善に寄与するかどうかを検討する後ろ向き観察研究の結果をまとめ、ESMO2023(欧州臨床腫瘍学会)で発表した。膵癌症例において治療経過中にがんゲノムプロファイリング検査を行った症例は未施行の症例と比べて有意に生存期間を延長しており(29.7ヵ月 vs 13.4ヵ月, HR: 0.51, p= 0.017)、両群の患者背景に差はなかったことから、膵癌においてはがんゲノムプロファイリング結果を把握することが治療医の治療選択に影響を与え、genotype-mathced treatmentの実施の有無に関わらず患者予後の向上に寄与する可能性につき報告した。また、がんゲノムプロファイリング検査を施行した47症例を対象に膵癌におけるがんゲノムプロファイリング検査の至適時期に関する検討を行い、第21回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2024)で発表した。膵癌においては一次化学療法施行前にがんゲノムプロファイリング検査を実施した症例が一次化学療法施行後に実施した症例と比べて有意に生存期間を延長しており(40.1ヵ月 vs 24.0ヵ月, HR: 0.33, p= 0.042)、膵癌においては早期にがんゲノムプロファイリング検査を実施することが患者予後の向上に寄与する可能性につき報告した。 その他、腫瘍組織検体のみを用いたがんゲノムプロファイリング検査(T-only検査)において検出されたBRCA1/2遺伝子異常は、どんなにその検出アレル頻度が低い場合であってもGermlin由来のバリアントである可能性があることを英文誌(Hayashi H et al, : Germline BRCA2 variant with low variant allele frequency detected in tumor-only comprehensive genomic profiling. Cancer Sci 2024;115(2):682-686.)に筆頭著者で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は膵癌に対する全エクソン解析を実施した症例(約60症例)の解析のまとめを行うことができる状況にあるため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は膵がんクリニカルシークエンスにおける全エクソン解析の臨床的有用性を検証する目的で、膵がん患者を対象にターゲットシークエンスと全エクソン解析を同時に施行し、両者の臨床的有用性(Actionable遺伝子異常・Germline遺伝子バリアント検出率、治療実施率、Turnaround timeなど)を比較検討する研究の最終解析を行い、同研究結果につき報告する。
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