研究課題/領域番号 |
21K15962
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 公益財団法人がん研究会 |
研究代表者 |
堀内 裕介 公益財団法人がん研究会, 有明病院 上部消化管内科, 医長 (20895742)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | エンドサイトスコピー / 狭帯域光 / 超拡大内視鏡 / 顕微内視鏡 / 早期胃癌 / 診断性能 / Narrow band imaging / 内視鏡 / 微小血管パターン / 胃癌 |
研究開始時の研究の概要 |
現在の胃癌診断において狭帯域光併用拡大内視鏡(ME-NBI)が標準検査となっている。我々は以前狭帯域光併用エンドサイトスコピー(EC-NBI)による胃癌の診断性能がME-NBIを上回る可能性について報告した。しかし胃におけるEC-NBIの報告は他になく、EC-NBI独自の効率的かつ高精度の診断法や診断に必要な多くの所見が明らかになっていない。これらを明らかにする事で日常診療におけるEC-NBIによる胃癌の診断性能の向上につながる。よってEC-NBI独自の診断法の開発、診断に必要な所見を明らかにする事を目的とする。さらにEC-NBIの診断性能に関する多施設共同前方視的研究を計画し、実行を目指す。
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研究実績の概要 |
超拡大内視鏡であるエンドサイトスコピー(EC)が開発され、狭帯域光(NBI)併用EC(EC-NBI)はNBI併用拡大内視鏡(ME-NBI)を、早期胃癌の診断性能において上回ることが報告されている。しかし、EC-NBI独自の診断方法について検証は行われていない。そこで我々はEC-NBI独自の診断方法を明らかにすることを目的とした。方法としては、以下である。早期胃癌、非癌それぞれ114病変、114枚のEC-NBI画像をME-NBIの教育を受けた内視鏡医33名(開発群)と、教育を受けていない内視鏡医28名(検証群)が評価した。評価法はME-NBIの診断体系であるVessel plus Surface classification systemに順じ、微小血管パターン(MV)、表面微細構造パターン(MS)を用いて行い、いずれにおいても不整と判断された場合、その画像は癌と診断することとした。診断性能として、正診率、感度、特異度をMV単独、MS単独、MVおよびMS両方の各診断方法で算出し、開発群および検証群それぞれの群内で各方法の診断性能の比較を行った。結果は以下である。開発群、検証群ともに、MV単独がMS単独と比較して、正診率(開発群:91.7% vs 76.3%, P<0.0001, 検証群: 92.5% vs 67.5%, P<0.0001)、感度(開発群:87.7% vs 54.4%, P<0.0001, 検証群: 89.5% vs 38.6%, P<0.0001)において有意に高値であった。一方で、両群ともにMV単独とMVおよびMS両方の比較では、各診断性能において有意差を認めなかった。結論として、MV単独による診断方法は、MVおよびMS両方による診断方法よりも簡便かつMVおよびMS両方による診断と同様、高い診断性能が得られた。この診断方法は日常の胃癌診療において有用である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者の既報のデータから、今回の検討の対象を抽出することができ、評価項目に関しても算出することができた。結果として、既報の事後解析として研究を行うことが可能であり、一昨年度論文報告までに至った。同内容を昨年度JDDW2022で発表を行った。また、併せて算出した、狭帯域光併用拡大内視鏡による診断性能に関しても、本研究の比較対象となると考え、昨年度論文報告を行った。今年度は、日本消化器内視鏡学会から本研究に関連する原稿依頼があり、日本消化器内視鏡学会雑誌(和文誌)に論文が受理された。加えて、これまでの研究内容について、今年度の第20回日本消化管学会総会で発表を行った。
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今後の研究の推進方策 |
現在狭帯域光併用エンドサイトスコピー画像を現在さらに集積しており、その集積結果から、ピロリ菌の感染状況(現感染、既感染、未感染)による所見の違い、胃癌の組織型(分化型、未分化型)による所見の違い、胃腺腫のような境界病変における所見、診断困難な病変(正診できなかった病変)の狭帯域光併用エンドサイトスコピーの所見を層別化して、分類の上、評価しているが、有意な所見が得られていない。これまでCOVID-19のため、学会参加が制限され、本研究のための学会での情報収集、資料収集が行えなかったが、次年度に行うこととし、狭帯域光併用エンドサイトスコピーによる診断性能の向上を目指す。
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