研究課題/領域番号 |
21K15963
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
大山 広 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (10814600)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 胆道癌 / 膵癌 / 次世代シークエンサー / 遺伝子変異 / がん遺伝子 / 悪性新生物 / ゲノミクス / 胆膵癌 |
研究開始時の研究の概要 |
胆膵癌は80%以上が切除不能であり、予後不良な最難治癌である。ゲノム情報に基づく精密医療(Precision Medicine)時代が到来し、遺伝子変異を標的とした治療による予後の改善が期待されている。ゲノム情報を得るにはホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織が必須であるが、精密医療が最も切望される切除不能胆膵癌は手術検体が存在しないため応用困難である。我々は、FFPEの代替候補として腫瘍細胞を含む胆汁細胞診アーカイブスに着目した。本研究は、細胞診検体とFFPEのゲノム情報が一致するか、治療薬探索が可能か検証し、FFPEのない切除不能胆膵癌への精密医療の実現を目的とする。
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研究実績の概要 |
胆膵癌34例、良性疾患10例から取得したFFPE組織19検体、細胞診検体61検体の両者より抽出されたDNAをTaqMan RNase P Detection Reagents KitとFFPE DNA QC Assay v2を用いて質的・量的検討を実施し、DNA収量(P = 0.792)、断片化程度(P = 0.800)が同等であることを確認している。Ion AmpliSeq library kit plusを用いライブラリ作製を行い、Ion ChefにてEmulsion PCR、Chipローディングを実施、Ion Protonにてシークエンスを実施した。シークエンスメトリクスは両者同等で解析に足るデータ量が得られた。アノテーションにはOncoKBを用いた。 組織検体のある悪性19例について、FFPE組織と細胞診検体の両者より計105個(oncogenic66個、Variant of uncertain significance39個)の遺伝子変異が検出され、50個(47%)が両者で共有されていた。Oncogenic mutationはVUSよりも高度に共有されており(P = 0.024)、共有されているoncogenic mutationの変異アレル頻度はFFPE単独(P = 0.001)、細胞診検体単独(P = 0.004)よりも有意に高値であった。FFPE組織で同定されたoncogenic mutationの73%は細胞診検体でも同定された。 組織検体のない25例(悪性15例、良性10例)では、悪性15例の細胞診検体からはoncogenic mutationが29個、VUSが21個検出されたが、良性例はVUS3個のみであった(P < 0.001)。細胞診検体におけるoncogenic mutation検出の感度、特異度、正診率は、それぞれ91%、100%、93%であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全80検体について、DNA抽出、ライブラリ作製、テンプレート調整、シークエンス、アノテーションは完了しており、一部では統計解析済みである。このような経過からおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画通り、令和5年度は次世代シークエンサーを用いたゲノム解析結果を精査し、得られた成果を学会発表や論文報告する予定である。今後も継続して症例集積と検体収集を行っていく予定である。また、今回の手法について他検体への活用を検討していく。
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