研究課題/領域番号 |
21K15976
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
桑野 哲史 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (90899006)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 急性肝不全 / 免疫応答 / 急性肝障害 / 炎症細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
急性肝不全においては高度な組織内の炎症が生じそれが持続することで組織破壊が進展するため、肝内マクロファージを中心とした炎症細胞がその病態に関与していると考えられるが、十分な検討はなされていない。また急性肝不全の一部の症例では肝類洞血流障害による広範な肝細胞壊死を呈するが、炎症細胞との関連も含めその詳細なメカニズムは不明である。本研究は急性肝不全におけるマクロファージを含めた炎症細胞での免疫応答と細胞間相互作用を中心とした解析を行い、急性肝不全の発症と増悪における基盤病態の解明と医学応用を目指すことを目的とする。
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研究実績の概要 |
前年度の研究結果からconcanavalin A投与モデルマウスは組織像や炎症性サイトカインの上昇、肝逸脱酵素(AST、ALT、LDH)の上昇の様式等が実臨床の急性肝不全症例における類洞血流障害型に類似していることが判明したため、類洞血流障害型の急性肝不全の病態解明を目的にconcanavalin A投与モデルマウスにおいて解析を進めることとした。 Concanavalin A投与前、投与1時間後、投与3時間後の肝臓から非実質細胞を分取し一細胞遺伝子発現解析を行った。それぞれのタイムポイントにおいて遺伝子発現プロファイルの異なる複数の細胞集団を同定できた。急性肝不全において既報にて重要性が指摘されているIFNγとTNFαの発現細胞を一細胞遺伝子発現解析で確認したところ、投与1時間後の時点で特定の細胞集団においてIFNγとTNFαの高発現細胞が存在していることがわかった。 一細胞遺伝子発現解析における各細胞集団の特徴遺伝子から各細胞集団の細胞種を推測し、IFNγとTNFαの発現細胞集団と推測した細胞種をフローサイトメトリーで分取した。concanavalin A投与後に経時的に推測された細胞集団の数的変化が確認され、またその遺伝子発現をqPCRで確認したところ、経時的にそれぞれの炎症性サイトカインの発現上昇を認め、一細胞遺伝子発現解析で推測した結果に矛盾しない結果が得られた。以上の実験結果からconcanavalinA投与1時間という肝障害の超早期において肝内の炎症性サイトカイン(IFNγ、TNFα)の産生細胞の同定に成功したと考えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一細胞遺伝子発現解析、フローサイトメトリーによって炎症性サイトカインの産生細胞の同定に成功した。同モデルマウスを用いて更なる詳細な解析を予定しており、概ね順調に進捗していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は一細胞遺伝子発現解析を更に詳細に進め、パスウェイ解析等による下流のシグナルの解析を行うことで炎症細胞の活性化から肝障害に至る過程の解析を進めることを予定している。またマウスモデルにおいて明らかとなった病態が実際にヒトの急性肝不全においても同様に関連しているかを当院で保存している臨床検体でも確認する予定である。
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