研究課題/領域番号 |
21K15978
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
熊谷 公太郎 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 助教 (80626664)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | GPNMB / 肝細胞癌 / マクロファージ / 腫瘍関連マクロファージ / 免疫療法 |
研究開始時の研究の概要 |
肝癌は、本邦において非常に死亡率の高い癌である。現在、様々な癌において免疫チェックポイント阻害剤による癌免疫療法が開始され、効果が得られている。我々は以前より肝細胞癌に発現するGlycoprotein Non-metastatic Melanoma protein B(GPNMB)という糖タンパク質に着目し研究を行い、予備実験による解析で肝細胞癌周囲に浸潤する腫瘍関連マクロファージがGPNMBを発現していることを明らかにした。GPNMBは免疫抑制的に作用することが報告されており、腫瘍周囲の微小環境に影響を与えている可能性が高い。今後この分子を標的とした新規治療薬開発を目指し研究を進めていく。
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研究実績の概要 |
我々は以前よりGPNMBという糖タンパクに着目し、肝細胞癌の浸潤、転移に影響を与えていることを明らかにした。一方でGPNMBはマクロファージ、樹状細胞にも発現し、免疫にも重要な役割を果たしていることが報告されている。今回我々は、癌微小環境においてGPNMBが免疫細胞に与える影響について解析し、新規免疫療法の標的分子となりうるか検証した。 C57BL6を背景とした野生型(WT)およびGPNMB変異型(R150X)マウスを用いて、マウス肝癌細胞であるHepa1-6を脾臓に注射する肝転移モデルを作成し、投与後14日目に評価した。検討項目として、1)肝組織における腫瘍面積、2)肝組織中から単核細胞単離後、CD68+マクロファージ、CD4+T細胞、CD8+T細胞の細胞数、3)CD68+マクロファージのPD-L1発現、CD4+またはCD8+T細胞の表現型について解析した。 1)WTに比し、R150Xでは肝組織における腫瘍面積が有意に縮小していた(WT vs R150X 5.635% vs 1.200%, p = 0.0456)。2)WTに比し、R150Xでは肝組織中から単離した単核細胞数、CD68+マクロファージ、CD8+T細胞は有意に減少していたが、CD4+T細胞は差がなかった。3)WTに比し、R150XではCD68+マクロファージにおけるPD-L1発現が有意に低下し、CD4+T細胞はT-bet+発現が有意に増加した。一方でCD8+細胞はPD-1発現が有意に低下した。 GPNMBの欠損は、癌微小環境においてCD68+マクロファージのPD-L1発現を低下させ、CD4+Tbet+T細胞の誘導やCD8+T細胞のPD-1発現低下により免疫細胞を抗腫瘍に誘導している可能性が示唆された。したがって、GPNMBは肝細胞癌治療における新規の標的分子となり得る。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウス肝癌細胞の脾臓注入モデルを確立し、肝組織内での肝がんの評価が簡便となり、解析結果も順調に得られているため、繰り返しの肝非実質細胞の解析が可能となったため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の検討で前年度よりも、肝細胞癌とその周囲の免疫細胞の変化にGPNMBがどのように影響しているかがより明らかになってきた。今後は臨床応用に向け、肝癌移植後の抗GPNMB 抗体やその他の免疫療法薬を併用し、治療効果を評価する予定である。
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