研究課題/領域番号 |
21K15987
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
三長 孝輔 近畿大学, 医学部, 講師 (30793814)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 自己免疫性膵炎 / 生活習慣病 / 肥満 / 形質細胞様樹状細胞 / I型インターフェロン / 高脂肪食 / IgG4関連疾患 / タイトジャンクション蛋白質 / 腸内細菌 / Leaky Gut Syndrome / 腸内細菌叢 / 腸管バリア機能 / Dysbiosis / 自然免疫 |
研究開始時の研究の概要 |
自己免疫性膵炎の発症には、腸内細菌叢の乱れ(Dysbiosis)により産生されるI型IFNやIL-33などの炎症性サイトカインが深く関与している。本疾患は高齢男性に好発することから、飲酒や高脂肪食などの生活習慣の乱れがその発症に影響を及ぼす可能性が考えられる。飲酒や高脂肪食は腸管バリア機能の低下やDysbiosis を来し、Leaky Gut Syndromeと呼ばれる病態を通して生活習慣病を誘導することが知られている。本研究では、自己免疫性膵炎の疫学的特徴と申請者らのこれまでの知見を踏まえ、生活習慣の乱れおよび腸管バリア機能の双方の視点から自己免疫性膵炎の病態解明と新規治療法の開発を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では高脂肪食による肥満が自己免疫性膵炎(AIP)の発症に及ぼす効果を検討した。MRL/MpJマウスに普通食または高脂肪食を摂取させた後、poly (I:C) を腹腔内注射しAIPを誘導した。病理学的検討から、高脂肪食摂取による肥満はAIPを悪化させ、膵臓における形質細胞様樹状細胞(pDC)を活性化し、I型IFNの発現を増加させた。I型IFN経路の中和により高脂肪食摂取によるAIPの悪化は抑制された。高脂肪食による腸管TJPの発現に有意な変化は認めなかった。以上の結果から、高脂肪食摂取が膵臓におけるpDCの活性化を誘導しI型IFNの産生を亢進することによりAIPを悪化させることが判明した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
自己免疫性膵炎(AIP)はIgG4関連疾患の膵特異的表現型である。AIPは中高年男性に多いという疫学的特徴を有しており、中高年男性が好む高脂肪食がAIPの発症に影響する可能性が考えられるが、高脂肪食による肥満とAIPの関係はこれまで解明されていなかった。そこで、本研究では高脂肪食による肥満が実験的AIPの発症に及ぼす影響を検討した結果、高脂肪食摂取が膵臓におけるpDCの活性化を誘導し、I型IFNの産生を亢進することによりAIPを悪化させることが判明した。今回の研究により高脂肪食摂取による肥満がAIPの危険因子として働く可能性が初めて示され、AIPの発症に生活習慣が関わっていることが示唆された。
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