研究課題/領域番号 |
21K15993
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
渡邉 雄介 新潟大学, 医歯学総合研究科, 特任助教 (00883844)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ACLF / Navitoclax / SASP / ミトコンドリア機能評価 / セノリティクス / MSC |
研究開始時の研究の概要 |
慢性肝不全急性増悪は感染や出血を契機として肝硬変患者の予後を非常に悪化させる病態である。死亡率は非常に高いが有効な治療法はほとんどなく、新規治療開発が望まれている。これまでの解析で、慢性肝不全急性増悪の際には肝臓内に老化細胞が多数出現し、病因の1つとなっている可能性を見出している。そこで老化細胞除去薬と、肝硬変症に有効な間葉系幹細胞を用いて、新規に慢性肝不全急性増悪の治療開発を目指した基盤研究を行う。 本研究を通じて重篤な病態である慢性肝不全急性増悪に対する治療開発に貢献し、1人でも多くの患者の救命につながることが期待される。
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研究実績の概要 |
【目的】慢性肝不全急性増悪(ACLF)は致死率の高い予後不良な疾患である。ACLFに対する根治治療としては肝移植があるが、移植治療だけでは救命率が改善せず、新規治療開発が望まれる。ACLFの機序には肝細胞老化の関与が示唆されており、老化細胞を除去する薬剤であるNavitoclaxを用いて、ACLFの新規治療を模索した。2021年度には、ACLFマウスの作成と、同マウスに対するNavitoclaxの効果の検証を実施した。2022年度には、Navitoclaxの効能に介在する機序の解明のためミトコンドリア機能評価を実施した。2023年度にはミトコンドリア機能評価としてこれまでに実施してきた評価法に追加して酸素消費速度の計測を実施した。 【方法】放射線照射(Total 1.0 Gy)で作成した老化肝細胞に、Navitoclaxを添加し、酸素消費速度Kitと吸光度計を用いて酸素消費速度をNavitoclaxを添加していない群と老化させていない肝細胞の群で3群間の比較を実施した。吸光度計では持続的な計測に設定し、長時間かけて経時的な変化を評価した。 【結果】酸素消費量は、正常な肝細胞では高く、老化肝細胞ほど低い結果であった。老化肝細胞にNavitoclaxを添加することで、正常な肝細胞ほどではないものの、酸素消費量は増加した。酸素消費量から消費速度を計測すると、老化肝細胞にNavitoclaxを添加することで消費速度が改善する結果であった。 【結論】酸素消費速度の評価の結果からも、Navitoclaxによりミトコンドリア機能が改善することでACLFを緩和する可能性が想定された。Biogenesisの面からもミトコンドリア機能の評価を実施することができたため大きなデータの補強につながったと考えられる。さらに介在する機序を解明して、ACLFに対する新規治療開発を目指していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度に実施した酸素消費速度の計測実験には細胞のviablityが重要であった。また、その他の業務に多くのエフォートを割いたことからも、やや遅れている結果となった。 追加の検証をやり残しているため、研究期間を1年間延長し、最終的に総括を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度までで、ACLFに対するNavitoclaxの効果を十分に検証することができた。次年度はまだ検証を残している間葉系幹細胞とNaviの併用によりさらに強力な効果を確認できるかについて検証を予定している。また、次年度は最終年度となるため、最終結果について総括する予定である。
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