研究課題/領域番号 |
21K15995
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
水谷 泰之 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (50831393)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | Meflin / がん抑制性CAF / AM80 / IBD / 炎症性腸疾患 / 間質 / 線維芽細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
炎症性腸疾患において、不可逆的な腸管線維化に伴う狭窄や瘻孔形成などに直接作用する治療法は未だ実現には至っていない。申請者らは既に膵がんにおいてMeflin陽性線維芽細胞が、がん抑制及び線維化抑制に働いていることを明らかにした。その過程で膵がん間質の線維芽細胞をがん「促進性」から「抑制性」に形質転換させる薬剤を同定している。申請者は本研究で炎症性腸疾患において同薬剤による線維化制御が可能かを調べる。
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研究実績の概要 |
研究代表者は「がん抑制性CAF」の初のマーカーとしてMeflinを世界に先駆けて同定し、その機能がTGF-βシグナルおよびコラーゲン架橋の抑制による線維化の抑制であることを報告した。また、がんの進行に伴って、Meflin陽性rCAF(善玉CAF)が、Meflin陰性/弱陽性のがん促進性CAFに形質変化することも明らかにした。 次にpCAFをrCAFに変換する薬剤を化合物ライブラリースクリーニングで探索したところ、人工合成レチノイドAm80を同定した。膵がんマウスモデルにAm80を投与するとrCAFの数が増加し、間質圧の低下と腫瘍血管径の増大により抗がん剤の腫瘍送達が向上した(間質初期化治療法)。 ビタミンAはレチノール結合タンパク質(RBP)に結合した形で細胞内に取り込まれていることが知られている。 申請者は、ビタミン関連遺伝子がCAFに特異的に発現すること、および、ビタミン関連遺伝子を介したAm80の取り込みによってrCAFの形質が維持されることを見出した。 本研究では、Meflin陽性線維芽細胞特異的にビタミン関連遺伝子条件付き欠失マウスを作出し、同細胞がビタミンAの取り込み能を失った場合に個体に与える影響を検証するものである。このために、ビタミン関連遺伝子のエクソン12の上下流にLoxP配列を組み込んだマウス(ビタミン関連遺伝子 floxマウス)をゲノム編集の手法で作成した。次いで、既に申請者らが作成したMeflin-CreERT2マウスと上記floxマウスをかけ合わせることにより、Meflin陽性線維芽細胞特異的にビタミン関連遺伝子の発現を欠失したマウスを作成し終わった。さらにMeflin-CreERT2ビタミン関連遺伝子f/fマウスとActin-Creマウスを掛け合わせてビタミン関連遺伝子欠損マウスを作成した。上記マウスを使用し、現在フェノタイプを解析中である。 また、Meflin欠損マウスにおいて炎症性腸疾患におけるフェノタイプの解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ感染の流行による動物舎の稼働率低下の影響で、計画よりやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度 動物舎の稼働率が上昇したため、上記マウスを使用し、がん抑制性CAFがビタミン関連遺伝子を介してがん抑制性形質を維持しているという仮設を証明する。
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