研究課題/領域番号 |
21K16028
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
大和田 渉 札幌医科大学, 医学部, 助教 (70896589)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | ネクロプトーシス / ドキソルビシン心筋症 / MLKL / ラパマイシン / オートファジー / アポトーシス / フェロトーシス / ミトコンドリア / アントラサイクリン / ドキソルビシン |
研究開始時の研究の概要 |
ドキソルビシン心筋症は致死率が高く臨床において重要な課題であり、その発症機序には様々な細胞死の関与が想定されているが、治療方法は確立されていない。近年、申請者らはミトコンドリア透過性遷移孔(mPTP)開口による細胞死を促進するミトコンドリア内脱リン酸化酵素を発見し、新規プログラム細胞死であるネクロプトーシスの分子機構を解明した。本研究では、①ミトコンドリア内リン酸化・脱リン酸化酵素活性調節異常、②mPTP開口とネクロプトーシス・フェロトーシスの分子機構連関、に注目してドキソルビシン心筋症発症・進展の新たな機序を解明する。
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研究成果の概要 |
マウスドキソルビシン心筋症モデルにおいて左室駆出率と生存率の低下を認め、フェロトーシスの活性化やオートファジー障害に加え、ネクロプトーシスの最終調節蛋白であるMLKL活性化を認め、ネクロプトーシスの誘導も示唆された。これはネクロプトーシス誘導シグナルであるRIPK1の阻害で改善しなかったため、RIPK1非依存性経路であることが示唆された。mTOR阻害薬であるラパマイシンの投与は有意にMLKL活性を低下させ、左室駆出率と生存率を改善させた。 以上の結果からドキソルビシン心筋症におけるRIPK1非依存性ネクロプトーシスの関与が示唆され、ラパマイシンが新規治療薬となる可能性が考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ドキソルビシンは投与量依存性に心不全を引き起こすものの、特異的治療方法は未だ確立していない。その病態に鉄沈着や活性酸素、アポトーシスやフェロトーシスの関与が想定されいるが、ネクロプトーシスが関与するかは未だ解明されていない。またラパマイシンなどのmTOR阻害薬はがんの縮小に寄与することが示唆されている。本研究におけるドキソルビシン心筋症へのRIPK1非依存性ネクロプトーシスを中心とした細胞死機序連関の関与およびラパマイシンによる心機能、生存率の改善とネクロプトーシス抑制機序の解明はドキソルビシン心筋症の発症機序とその治療法の解明に寄与し、さらにはがん治療への応用も期待できると考えられる。
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