研究課題/領域番号 |
21K16043
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
岡 秀治 旭川医科大学, 医学部, 助教 (90624180)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2021年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
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キーワード | 小児がんサバイバー / AYA世代 / アントラサイクリン / 心筋障害 / 心臓MRI / 小児がん / 心毒性 / がんサバイバー |
研究開始時の研究の概要 |
小児がんの治療成績向上に伴う、がんを経験した患者(がんサバイバー)は増加しており、治療後に心臓の問題がでてくることがわかってきた。抗がん剤の中でも、アントラサイクリン系による心臓へのダメージは、治療後10~30年で起きてくることが多いが、15~39歳のAYA世代における抗がん剤治療による心臓への影響に関する報告は十分ではない。 AYA世代の心臓の機能は保たれていることが予想され、この時点で隠れた心臓のダメージを把握し、必要に応じて心臓を保護する薬を開始することで、将来的な心血管イベントを予防できる可能性がある。我々は心臓MRIを用いて、心臓のダメージを評価することを目的に研究を行うことにした。
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研究実績の概要 |
小児がんの治療成績向上により、AYA世代(15-30歳)のがんサバイバーが増加している。AYA世代のがんサバイバーでは、治療後数年を経過してから、心血管疾患を発症する割合が高いことがわかっている。しかし、腫瘍循環器学が注目されたのは最近であり、過去の小児患者ではがん治療中に心機能に異常がない場合、遠隔期に心臓の詳細な評価が行われることは少なかった。そのため、AYA世代の小児がんサバイバーでの、遠隔期の心機能はわからないことも多く、我々はその点を明らかにする目的で本研究を行った。 5名のAYA世代がんサバイバーに対して、心臓MRI検査(CMR)を中心に精査を施行した。アントラサイクリン累積投与量が300mg/m2を超えている2名のうち、1名は心エコーでの左室ストレイン値が低下し、CMRで遅延造影が陽性、NativeT1/ECV共に高値であり心筋障害を認めた。もう1名は心エコーは正常で遅延造影も陰性だが、ECVは高値であり局所的な心筋障害が疑われた。残り3名はいずれの検査も正常であった。 心エコーの左室ストレインは、がん治療後の心筋障害の早期発見に有用であるが心筋線維化を同定することはできない。CMRの遅延造影検査では、心筋線維化の同定ができ、不整脈や突然死のリスク因子の評価が可能である。その中でも、ECVはNative T1よりも局所の心筋線維化の評価に有用であることが報告されており重要な所見の一つである。左室ストレインが低下する前にECVは上昇することも報告されているため、アントラサイクリンの累積投与量が多い患者では、若年のうちに心筋性状の評価を行っておくことで、将来的な心筋障害の予測が可能になり、継続して評価することで治療介入の時期も検討できると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
外来通院の頻度が少ない患者を対象にしており、受診時に研究参加の同意を得ることが容易ではないため。 ポスター貼付などでリクルート活動をすすめているものの、対象者は当初の予定よりも大幅に少ない。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度から始めた研究参加のポスターなどによるリクルートを継続し、研究参加者の数を増やすよう努力を行う。 2022年度の研究参加者において、心エコーでのわずかなストレイン値の低下が、心臓MRIを撮影することで心筋障害に由来することがわかった。この知見に関しては2023年度に学会発表を行った。 2024年度は、心臓MRI検査からわかる心筋障害以外の合併症についても検討をおこない発表する予定である。 今後は症例数が大幅に増えることはないと予想されるため、2025年度はそれまでの知見をまとめて、次の研究にむけて実現可能な計画を検討する。
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