研究課題/領域番号 |
21K16053
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
河野 洋介 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (00747454)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | マイクログリア / 低酸素 / 呼吸循環応答 / 循環調節 / ストレス / 高血圧 / 遷延性応答 / 延髄 / 視床下部 / カルシウムイメージング / グリア細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
高血圧症は心血管疾患の最大のリスク因子であり、高血圧症を起因とした疾患により年間10万人もの患者が死亡している。高血圧症のうち特に原因が明らかでないものは本態性高血圧症と診断されるが、その発症メカニズムは十分に解明されていない。ストレスに対する血圧・心拍数の上昇は交感神経活動によって惹起されるが、ストレスが過ぎ去った後もしばらくは持続するこのストレスに対する血圧・心拍数の維持には脳のグリア細胞の働きが重要な役割を担っている。本研究ではストレス刺激に模した視床下部刺激による交感神経活動に、近年の神経科学領域にて着目されているグリア細胞ががどのように関与しているのかを検証する。
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研究実績の概要 |
高血圧症は心血管疾患の最大のリスク因子であるが、本態性高血圧発症のメカニズムは明らかでない。身体的あるいは精神的ストレスを受けると血圧上昇・心拍数増加といった循環応答が惹起されるが、ストレス消失後にもこれらの循環応答が遷延する場合には、将来、高血圧を発症するリスクが高まることが報告されている。 研究代表者らは、これまでに視床下部背内側核と吻側延髄腹外側野や吻側延髄腹内側野・尾側延髄腹外側野・延髄縫線核といった、延髄腹側循環調節領域が解剖学的および機能的結合を有することを報告し、本研究ではこれらの結合にはグリア細胞が大きな役割を担うという仮説を検証している。これまでにグリア細胞のうちマイクログリアに着目し検証を行った。マイクログリアは、慢性低酸素状態に対する呼吸循環応答に関与していることが報告されているが、急性低酸素負荷に対しどのような役割を担うのかは明らかにされていない。そこで、無拘束のラットを用いて、二種類の急性低酸素負荷に対する呼吸循環応答を、マイクログリア活性化阻害剤であるミノサイクリンの投与の有無により比較した。結果、マイクログリアは正常酸素濃度では血圧調節に抑制的に寄与する一方で、低酸素濃度では換気量増加を維持するのに役立つことを見出し、これらの結果を学術誌に報告した。また、重度の低酸素はけいれん発作を惹起し、時に呼吸停止を生じる。ミノサイクリンを前投与した場合、重度の低酸素に対するこれらの反応に抵抗性を示す傾向があることを見出し、マイクログリアが低酸素によって引き起こされるけいれん発作およびその後の呼吸停止を助長する可能性が示唆された。これらの結果について、学術誌に報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初予定していたカルシウムイメージング法について、実験手技の獲得に難渋し研究が停止している。一方で、マイクログリアについての見解を学術誌へ報告し得た。昨年度の研究に大幅な進展はなく、延長を余儀なくされたことから、遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
カルシウムイメージング法の取得に難渋しており、同実験については研究見込みがないため中止とする。一方で、これまでの生理学的実験で得られた知見を総括し、ストレス負荷時の遷延性応答の機序の解明を主方策とし研究をすすめていく。
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