研究課題/領域番号 |
21K16055
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
坂田 憲祐 滋賀医科大学, 医学部, 客員助教 (50773991)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 不整脈 / 心房細動 / 非発作性心房細動 / カテーテルアブレーション / ローター / コンピュータシミュレーション / 線維化心房モデル / 心筋遅延造影MRI / 心臓電気生理学 / 心筋線維化 / atrial fibrillation / rotor / driver / ExTRa Mapping |
研究開始時の研究の概要 |
心房細動はわが国だけでも100万人と高い有病率を示し,脳梗塞や心不全の主な原因とされる不整脈であり,加齢に伴って出現することから,超高齢社会を迎えたわが国において,その治療は急務とされる. 本研究では,研究代表者が開発・改良に携わった世界で唯一のオンライン・リアルタイム臨床不整脈映像化システム(ExTRa Mapping)を用いて,心房細動の興奮波動態を直接観察し,そのメカニズムと治療標的を解明することで,将来的には難治性の非発作性心房細動に対するカテーテルアブレーションによる根治術の確立を目指す.
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研究実績の概要 |
非発作性心房細動においては,ローターとよばれる駆動的役割(ドライバー)が主な持続メカニズムの一つとして考えられている. すでに研究代表者らが開発に成功し,2018年にJournal of Arrhythmiaにて報告したオンライン・リアルタイム臨床不整脈映像化システム(ExTRa Mapping)を用いて本研究を進めた. 初年度には非発作性心房細動症例におけるローターの特徴および患者ごとの興奮波動態の違いについて解析および国内外での学会報告を行い,2年目には連続140人の術後長期成績および傾向スコアマッチングによる従来の治療法との比較といった本研究の主要論文となる論文を執筆し,3年目となる令和5年度には本研究の全てのデータを総括した上,現在英文誌での論文査読中である.さらに本研究にてclinicalに実際に映像化・観察されている興奮波動態そのものとそれを固定させるもの(ローター存在確率を高め得る不整脈基質)の関連性を調査することによって,「観察されたロータ」あるいは「固定化させ得る不整脈基質」といった単一の指標ガイドにアドホックに心筋焼灼するのではなく,真に必要な心房細動基質アブレーションのターゲットをメカニズム志向に絞り出し,不必要な正常心筋への焼灼を回避しアブレーション後医原性心房頻拍を予防することこそが本研究がもたらすことのできる最大の目的であるとの考えに基づき,パーソナライズ心筋モデルを用いたコンピュータシミュレーションにて真のドライバーとしてのローターの特徴(線維化分布や心内電位波高や波形)およびその分類方法を調査し,令和5年度には米国不整脈学会および米国心臓病学会で発表を行った.それらをまとめた論文についても現在査読中である(この論文が,本研究主要課題である臨床不整脈映像化システムによるアブレーション戦略の科学的裏付けおよびエビデンスとなることを想定している).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現時点では主要論文出版には至っておらず最終目標に到達したとは言えないが,2年目に投稿した論文をさらに昇華させた総括論文が現在査読中であるため,この点については概ね順調であると言える.また非発作性心房細動の駆動メカニズム解明に向けて,映像化システムを用いたドライバーへの調査アプローチのほかに,これを科学的に裏付けるための心筋遅延造影MRIを用いた基質への調査アプローチも並行して実施できているため,部分的には計画以上の進展が得られている.
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今後の研究の推進方策 |
本研究を総括した主要論文(ドライバーへの調査アプローチ)については査読結果を待ち本年度中の速やかな出版を目指す. さらに,並行して行なってきた基質への調査アプローチについても現在査読中の論文の速やかな出版を目指す(この基質アプローチ論文が,主要論文であるドライバーアプローチのアブレーション戦略の科学的裏付けおよびエビデンスとなることを想定している).
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