研究課題
若手研究
循環器診療において、適切なエビデンスに基づいた標準診療を遵守することは患者の予後向上のために重要であるが、現実的には標準診療の遵守状況は必ずしも高くなく、医師や施設間でばらつきがあることが知られている。本研究では、医療の中心である患者の立場からも、標準診療の理解およびその遵守に関する問題意識を共有できるような新たなツールを開発し、現場医師のより自発的な行動変容を促すことを目的とする。
本研究では、虚血性心疾患において標準診療の遵守状況を評価すること、および、発展的な手法として、患者視点での客観的評価方法 [Patient Experience (PX)] を活用し、現場医師の行動変容を促し、標準診療の遵守率向上に繋げることを目的としている。2年目である本年度は、虚血性心疾患における標準診療遵守を目的としたリスクスコアの開発を行った。国内最大規模の虚血性心疾患のレジストリ(J-PCI)とレセプトデータ(DPC)の突合を実施し、汎用性の高いリスクモデルの開発に成功した [Shoji et al. IJC 2023]。さらに、同データベースを用いて、標準的アプローチである橈骨動脈穿刺が、コストの面からも大腿動脈穿刺よりもコスト削減に繋がることを明らかにした [Shoji et al. Lancet regional health 2022]。こういった大規模データベースの活用は、参加している現場医師の数も多く、より自分事として捉えやすく、ひいては、現場医師の行動変容につながり、標準診療のさらなる遵守率向上につながるものである。
2: おおむね順調に進展している
循環器急性期疾患に対する標準診療の遵守状況を把握し、その解決策を提示することを目的とした研究は順調に進んでいる。
最終年度には、患者視点からの標準診療遵守のための手法の開発と臨床現場へのフィードバックを行う予定である。現在、開発に向けた文献レビューと質問票の作成を専属の臨床研究コーディネーターとともに行っている。
すべて 2023 2022 2021
すべて 雑誌論文 (16件) (うち国際共著 5件、 査読あり 12件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
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