研究課題/領域番号 |
21K16104
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐野 寛仁 東北大学, 大学病院, 非常勤講師 (20895916)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | COPD / 閉塞性肺疾患 / 酸化ストレス / 活性硫黄分子種 / CARS2 / 活性イオウ分子種 / ミトコンドリア / CPERS / 慢性閉塞性肺疾患 |
研究開始時の研究の概要 |
COPDの病因では肺のレドックスバランス不均衡が重要である。申請者らは、内因性還元分子である活性イオウ分子種(reactive sulfur species:RSS)がヒト肺に存在し、COPD肺では健常者に比して有意に低下していることを報告した。さらに、ミトコンドリア型システイニル-tRNA合成酵素(CARS2) が、生体内のRSSの主たる産生酵素と同定された。一方、COPD患者肺におけるCARS2の発現や機能および個体レベルでのRSS低下が肺の気腫形成や慢性炎症などCOPD病態に及ぼす影響については不明であり、本研究では動物モデルマウス、ヒト手術肺を用いて同事象について検討を行う
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研究成果の概要 |
この研究は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の肺において、活性イオウ分子種の主な産生酵素であるCARS2の発現が低下していることを明らかにした。さらに、CARS2欠損マウスを用いてエラスターゼ誘導性肺気腫モデルを作製したところ、野生型マウスに比べ肺の炎症と気腫化が増悪することが分かった。活性イオウ供与体を投与することで、これらの病態が改善されたことから、CARS2の低下による活性イオウ分子種の減少がCOPDの病態形成に関与する可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、COPD患者の肺ではCARS2酵素の発現が低下し、活性イオウ分子種が減少していることを初めて明らかにした。さらに、動物実験でCARS2欠損が肺の炎症と気腫化を増悪させ、活性イオウ供与体の投与でこれを改善できることを示した。これらの知見は、COPDの新しい病態メカニズムを提示するものである。また、活性イオウ分子種を補う新規治療薬の開発につながる可能性がある。現在の対症療法に加え、COPDの進行を抑制する根本的治療法の実現が期待できる。
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