研究課題
若手研究
喘息病態の悪化に酸化ストレスが関連していることが知られているが、その正確な機序は不明である。今回、酸化ストレスと喘息の主な病態である気道炎症との関連を明らかにするため、以下の項目に着目する。①Th2サイトカインや好酸球性炎症は酸化ストレスを増悪させるか、②Th17サイトカインや好中球性炎症は酸化ストレスを増悪させるか、③2型炎症や非2型炎症を軽減することで酸化ストレスが軽減するか、④酸化ストレスは2型炎症や非2型炎症を増強させるか、⑤酸化ストレスを軽減することで2型炎症や非2型炎症は軽減するか
まず、喘息患者では細胞内のグルタチオン濃度が低下していて、喘息気道上皮細胞は酸化状態にシフトしていることを示した。次に、その機序として、15LO1-PEBP1系に対する反応としてグルタチオンが消費されることを示した。さらに、グルタチオンと2型炎症の関連を検討した。RNA-seqのデータを用いて細胞内グルタチオン濃度と2型炎症マーカー(POSTN、CLCA1、ALOX15、MUC5AC、CCL26、NOS2)の関連を示した。SLC7A11を阻害してグルタチオン濃度を減少させると、iNOS、ペリオスチン、エオタキシン3/CCL26、MUC5ACタンパクが増加することを見出した。そして、グルタチオン投与でMUC5AC mRNA発現が低下し、エオタキシン3/CCL26およびiNOSタンパクが低下することを示した。以上より、グルタチオン低下が2型炎症を増強し、喘息重症度を悪化させることを示した。
2: おおむね順調に進展している
論文発表を行った
酸化ストレスが生じやすい睡眠時呼吸状態と2型炎症の関連を検討する
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
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巻: 132 号: 1
10.1172/jci151685
Pediatr Allergy Immunol.
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