研究課題/領域番号 |
21K16118
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
福島 清春 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任助教(常勤) (00752156)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 肺線維症 / 単球 / 線維症 / 動物モデル |
研究開始時の研究の概要 |
特発性肺線維症(IPF)は、予後不良の指定難病であり, 根治薬も存在しない。申請者らはマウス肺線維症モデルにおいて免疫細胞における線維化促進性単球サブセットを報告し(Nature 2017), 続いて, 非免疫細胞において線維化期に誘導されるRBM7という遺伝子が, NEAT1というlong non-coding RNAの分解を介して線維症の発症に関与していることを解明した. (Immunity 2020).本研究では、先行する肺線維症研究を発展させ、マウスモデルを有効活用しながら, ヒト肺線維症において新たな病態理解に基づく治療標的の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
特発性肺線維症(IPF)は、予後不良の指定難病であり、発症には喫煙との強い関連が指摘されている。先行研究により見出されたRBM7/NEAT1/CXCL12カスケードによる線維化制御メカニズムおよび免疫細胞・非免疫細胞の相互連関を検討することで、線維症の発症過程の包括的な理解を目指す。 RBM7の発現制御メカニズムを検討した。線維化病変の新規病態解明を肺線維症患者検体のシングルセルRNA-seq解析により検討した。 共免疫沈降-質量分析により、RBM7がE3ユビキチンリガーゼであるHUWE1, LTN1, SHPRH, RNF140と相互作用することを見出し、さらに、siRNAを用いたknock downによりRBM7発現の制御メカニズムを検討した。間質性肺炎患者の肺組織、気管支肺胞洗浄液、末梢血のシングルセルRNA-seq解析および空間的遺伝子発現解析をおこない、線維化の病勢と顕著な相関を示すFibrotic macrophageのpopulationを同定することが出来たとともに、複数の異なった免疫細胞サブセットが線維化の進行と関連していることを見出した。さらには、肺組織、末梢血のシングルセルRNA-seq解析との統合解析をおこない遺伝子発現パターンの類似性から細胞を擬似時間軸で並べ細胞の分化経路を調べるRNA velocityを用いたtrajectory解析をおこなったところ、異なった単球サブセットが線維化と関連する多様なマクロファージサブセットを形成することがわかった。進展した線維化肺は荒廃した終末期の病像ととらえられてきたが、線維芽細胞活性化を維持し線維化を進展させる活発な免疫応答があることが示された。免疫細胞・非免疫細胞の相互連関による線維化制御メカニズムを検討することで、進展した線維化肺も治療可能な分子が同定可能と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床検体の集積および解析が当初想定より豊富にかつ速やかに進行した
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今後の研究の推進方策 |
RBM7/NEAT1/CXCL12カスケードによる線維化制御メカニズムおよび免疫細胞・非免疫細胞の相互連関を検討することで、線維症の発症過程に特徴的な分子・細胞群を明らかにする。
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