研究課題/領域番号 |
21K16122
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
門屋 講太郎 順天堂大学, 医学部, 非常勤助教 (10849706)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | Extracellular Vesicle / 間葉系幹細胞 / 肺線維芽細胞 / 肺線維症 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、従来にない間葉系幹細胞由来Extracellular Vesicle (EV)による肺線維症の病態制御機序の解明を行い、間葉系幹細胞由来EVのタンパク質やmiRNAの新たな抗線維化標的因子の同定を行う。革新的な新規バイオ抗線維化薬剤として間葉系幹細胞由来EVの臨床応用に向けた基盤研究である。
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研究実績の概要 |
本研究では、線維化の病態を強力に促進させることが知られているTGFβが誘導する(1)遊走能(2)肺線維芽細胞含有コラーゲンゲル収縮能(3)収縮性ストレスファイバーであるα平滑筋アクチン(αSMA)産生能(4)細胞外基質(ECM)産生能を、Ex-vivoにおける代表的線維化モデルの解析方法として導入した。上記の実験には、ATCCより購入したヒト胎児肺由来線維芽細胞株HFL-1、当院呼吸器外科手術症例において肺癌患者の摘出肺の非癌部肺組織から分離培養した正常肺線維芽細胞、研究協力施設の神奈川循環器呼吸器病院より提供いただいた肺線維症肺線維芽細胞を用いた。 間葉系幹細胞(MSC)由来Extracellular Vesicle (EV)製剤をTGFβ刺激下で線維芽細胞に作用させたところ、ファイブロネクチン濃度勾配に対する遊走能の抑制、肺線維芽細胞含有コラーゲンゲル収縮能の抑制がみられた。また、ウエスタンブロットによりαSMAやⅠ型コラーゲンの産生能の抑制がみられた。次に、MSC由来EV製剤のmiRNA網羅的解析結果をもとに、抗線維化作用が期待される複数のmiRNAに着目し、miRNA mimicやmiRNA inhibitorを用いて上記のEx-vivo実験を行った。その結果、ある特定のmiRNAが抗線維化作用を有することが示された。さらに作用機序解明のために細胞内シグナル経路に着目して検証を進め、EV製剤を投与された肺線維芽細胞では繊維化に関連するリン酸化シグナルが抑制されていた。また、それに関連して、上記のmiRNAが特定の蛋白発現を抑制することも示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度は、MSC-EV製剤の抗線維化作用についてのEx-vivo検証を行った。2022年度は、miRNA網羅的解析結果をもとに特定のmiRNA及びそのターゲット蛋白に着目し、特定の細胞内シグナル経路を介した抗繊維化作用機序の解明を行なった。
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今後の研究の推進方策 |
正常肺線維芽細胞と肺線維症肺線維芽細胞に対するMSC-EV製剤の作用の違いについて、上記のリン酸化シグナル経路に着目して検証を行う。また、In-vivo検証としてブレオマイシンモデルマウスにMSC-EV製剤を経静脈的に投与し、肺組織の免疫組織化学染色やIVUSなどにより抗線維化作用機序の検証を行う。今後は直接的に抗線維化の機能制御に関連するmiRNAの機序を証明したことから特許の申請を行い、学会論文発表を次年度に行う。
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