研究課題/領域番号 |
21K16123
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
伊藤 三郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (30865291)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 核膜 / 特発性肺線維症 / 細胞老化 / TGF-β / lamin B1 / 核膜傷害 / ESCRT |
研究開始時の研究の概要 |
IPFは慢性進行性の肺線維化をきたす予後不良な疾患である。細胞核を覆う核膜は遺伝情報などの核内容物を外部から保護するだけでなく、核膜孔を介した核-細胞質輸送による転写因子の局在制御、核膜とヒストン蛋白との直接的な結合によるクロマチン制御による転写調節、メカノセンシングと呼ばれる外的な物理刺激に対するシグナル応答、テロメア保護などの様々な役割を持つ。IPFではTGF-bによるSmadの核内への移行や、メカノセンシング異常、テロメア短縮が病態へ関与するが、これらに関与する核膜の機能異常の観点から検討された研究はこれまで十分にない。IPFにおいて核膜恒常性の破綻が病態へおよぼす影響について検証する。
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研究成果の概要 |
特発性肺線維症は進行性の肺線維化をきたす予後不良な疾患である。細胞核を覆う核膜は核内容物を保護するだけでなく、クロマチン制御、圧シグナル応答、テロメア保護などの様々な役割を持つ。IPFにおいて核膜恒常性の破綻が病態へおよぼす影響を検証した。核膜構成成分のlamin B1をノックダウンした肺線維芽細胞では、刺激による筋線維芽細胞分化が強く誘導された。ブレオマイシン肺線維症モデルマウスではブレオマシン投与により線維化部位細胞の核膜形態の変形が認められたが、核膜保護薬は線維化を抑制しなかった。今回の検討では核膜恒常性維持は持続的圧負荷のかかる異常な細胞環境下では保護作用を示さない可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は特発性肺線維症(IPF)肺の線維化進行の病態における核膜異常の関与を明らかにすることを目的とした。これまで核膜異常の視点からIPF病態について検討した研究は少ない。我々は以前、慢性閉塞性肺疾患(COPD)病態で核膜の劣化が病態進行に関与することを世界に先駆けて示したが、本研究はその進歩を同じ老化関連の線維化病態を示しながらも顕著に異なった臨床病態を示す疾患であるIPFで検証したものである。本研究から得られる知見が呼吸器疾患における特異的ない新規治療標的の創生につながる可能性があると考えた。今回の研究結果はCOPD病態とIPF病態での核膜機能の病態への関わりの差について示すものとなった。
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