研究課題/領域番号 |
21K16130
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
東出 直樹 東北大学, 大学病院, 助教 (00732223)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 肺線維化 / 鉄代謝 / 線維化 |
研究開始時の研究の概要 |
肝臓や腎臓における線維性疾患の発症機序の一つとして、鉄代謝障害による細胞内の酸化 ストレス上昇との関係が指摘されている。しかし肺疾患については、鉄代謝障害がCOPDや 結核をはじめとした肺感染症と関連するとの報告はあるものの、肺線維症との関連を指摘する報告は少なく、機序の多くも不明である。当該研究では、肺線維症マウスモデルにおける鉄代謝や酸化ストレスの解析を行う。線維化の発生・進行の機序を細胞・分子レベルで解析することで、肺線維症だけでなくあらゆる臓器での線維性疾患においても新たな診断・予防・治療法の開発につながることが期待される。
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研究実績の概要 |
特発性肺線維症は診断されてからの生存期間中央値が2から3年、5年生存率は20から30%と非常に予後が悪いことが知られている。現在の治療では、これらの線維化疾患に対して治癒することも進行を完全に止めることも不可能であり、臓器移植を除いて有効な治療法がない。そのため治療薬の開発に向けた線維化のメカニズム解明が急がれる。 これまでの研究の中で、NCBIのGene Expression Omnibus (GEO)に登録されているデータセットから間質性肺炎患者群で鉄トランスポーターであるZIP8の発現低下がみられることに着目して実験を行ってきた。in vitroの実験として、ZIP8に対するShRNAを作成してマウスⅡ型肺胞上皮細胞であるMLE12細胞に形質導入した。TGF-βもしくは陰性対照としてPBSを投与した後にその回収した上清の馴化培地でマウス肺線維芽細胞を培養して解析を行った。線維化マーカーとしてFn1やCola1a1、MMPs(マトリクスメタプロテアーゼ)、老化マーカーであるCdkn1a, Cdkn2aについて解析を行ったが、陰性対照群と比較して有意差を示すことができなかった。 近年、グランザイムK陽性CD8+T細胞が血液中や臓器横断的に遊走・定着し、グランザイムKを放出して細胞老化・炎症を促進することが報告された (Immunity. 2021 Jan 12; 54(1):99-115)。CD8+T細胞が鉄関連細胞死であるフェロトーシスを誘導することも知られており (Nature. 2019 May; 569:270-274)、グランザイムK陽性CD8+T細胞と鉄代謝、間質性肺炎に対する炎症・線維化形成との関連について検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していた結果が得られず、方向性の修正を要する状況であったことに加え、本実験での条件検討や手技の習熟などで時間を要した。実験をくりかえし行い、その結果を慎重に解釈する必要があった。
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今後の研究の推進方策 |
着目していたZIP8において、in vitroの実験結果からはポジティブな結果が得られなかった。NCBIのGEOデータから解析を行い、強皮症関連間質性肺炎患者での鉄トランスポーターであるDMT1などの発現低下も認められることから、ほか分子にも着目しながら解析を進めていく。線維芽細胞における鉄動態の検討を線維芽細胞株を用いて検証した後に、肺線維化マウスモデルを使用してin vivoでの解析を進める。鉄代謝の異常と細胞内鉄濃度の上昇や活性酸素種による細胞障害の有無について、今後検討していく予定である。
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