研究課題/領域番号 |
21K16139
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
井上 裕介 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (10795470)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 形質制御転写因子 / 小細胞肺がん / 相互排他性 / 細胞分化 / ASCL1 / NEUROD1 / 分化プログラム / リプログラミング / 運命制御転写因子 / 個別化治療 / アポトーシス |
研究開始時の研究の概要 |
小細胞肺がんは治療法に向上が乏しく予後不良である。小細胞肺がんの運命制御を支配する転写因子(ASCL1、NEUROD1、POU2F3、YAP1)の発現プロファイルによる分類が最近提唱され、これに基づいた個別化医療の推進が期待されているが、これらの転写因子の機能には不明な点が多く、臨床的な意義も明らかではない。また、これらの転写因子が小細胞肺がんにおいて相互排他的に発現している可能性が示されており興味深い。本研究では、この相互排他性のメカニズムを明らかにすることで新たな小細胞肺がんの治療標的の発見に挑む。
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研究成果の概要 |
形質制御転写因子の発現プロファイルによる小細胞肺がんの分類が提唱されている。申請者は、形質制御転写因子が小細胞肺がんにおいて相互排他的に発現している可能性に注目し、この相互排他性の背景に腫瘍抑制性に働く転写因子の組み合わせが存在することにより選択や淘汰が生じていると仮説を立てた。我々は、最も代表的な形質制御転写因子であるASCL1とNEUROD1が高度に相互排他的に発現していること、およびASCL1とNEUROD1の共発現により、小細胞肺がん細胞株においてアポトーシスが誘導されることを見出した。この機序として細胞形質分化プログラムの破綻が示唆され、さらに詳細に検討を進めていく方針である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
小細胞肺がんの病態には未解明な部分が多く、その治療には過去40年間で大きな進歩が見られていない。その結果、その予後は依然として極めて不良である。しかし、最近になり小細胞肺がんの遺伝子異常の他、その分化に関わる形質制御転写因子の存在が明らかにされてきた。 本研究は、この形質制御転写因子の発現が小細胞肺がんにおいて相互排他的に生じる機構の一つを説明しうるものであり、小細胞肺がんの病態生理の理解を深めるとともに、この相互排他性を標的とした小細胞肺がんのサブタイプ特異的な新たな治療戦略の確立の契機となる可能性を秘めていると考えられる。
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