研究課題/領域番号 |
21K16158
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53040:腎臓内科学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
辰元 為仁 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任助教 (30444813)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 慢性腎臓病 / ポドサイト |
研究開始時の研究の概要 |
腎臓の糸球体を構成する細胞の一つである腎糸球体足細胞(ポドサイト)は、血清蛋白の最終濾過障壁であり、ポドサイトの障害は蛋白尿の増加、ひいては慢性腎臓病(CKD)の進行に繋がる。本研究では、ポドサイト障害に対して保護的に働くNotch2のシグナル伝達経路にターゲットを絞り、ポドサイト特異的な障害抑制因子を明らかにし、CKD進行抑制薬の創出を目指す。具体的な研究目的は以下である。 1)ポドサイト障害におけるNotch2活性化シグナルの役割を解明 2)ポドサイトにおけるNotch2活性化シグナル伝達経路の下流因子の解明 3)ポドサイト特異的な障害抑制因子にターゲットを絞ったCKD進行抑制新規治療薬の創出
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研究実績の概要 |
腎臓の糸球体を構成する細胞の一つである腎糸球体足細胞(ポドサイト)は、血清蛋白の最終濾過障壁であり、ポドサイトの障害は蛋白尿の増加、ひいては慢性腎臓病(CKD)の進行に繋がる。本研究では、ポドサイト障害に対して保護的に働く分子であるNotch2のシグナル伝達経路にターゲットを絞り、ポドサイト特異的な障害抑制因子を明らかにし、他の臓器に影響が少ないCKD進行抑制薬の創出を目指す。 1)ポドサイト障害におけるNotch2活性化シグナルの役割を解明する 2)ポドサイトにおけるNotch2活性化シグナル伝達経路の下流因子を解明する 3)ポドサイト特異的な障害抑制因子にターゲットを絞り、CKDの進行を抑制する新規治療薬を創出する マイクロアレイによりポドサイトにおけるNotch2活性化シグナルの下流因子としてSub-Xを特定した。培養ポドサイトに細胞死を誘導するアドリアマイシン(ADR)モデルにて、Sub-Xにポドサイトのアポトーシス抑制効果があることを確認した。ポドサイトにおいてSub-Xを過剰発現したところADRによるアポトーシスを抑制することを確認し、Sub-Xをノックアウト(KO)したポドサイトではADRによる細胞死が促進されることも確認した。次に、ADR腎症モデルをSub-X KOマウスを導入しその腎保護効果を確認した。培養細胞と動物実験の相反する結果が得られた原因として免疫系細胞の関与を疑い、野生型、Sub-X KOマウスのADR腎症モデルに骨髄移植をすることで免疫系細胞に対するSub-Xの効果を確認したところ、マクロファージのM1、M2の極性にSub-Xが関与していることを確認した。Sub-XがマクロファージをM2からM1に誘導し炎症を惹起する効果が、ポドサイトにおける腎保護効果を凌駕するため、Sub-X KOマウスで腎障害が軽減されていたと想定された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
培養細胞と動物実験におけるSUb-Xの相反する結果にマクロファージが関与していることを突き止めた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、生体内環境でのSub-Xの効能やヒトの腎疾患組織でのSub-Xの発現を確認する。また、マクロファージにおけるサイトカイン分泌、好中球におけるNETosisなどを検証し、動物実験では移植による検証を行う。 Notch2シグナル伝達経路の下流因子であるSub-Xについて、抑制または促進する既知の化合物が存在する場合は、腎疾患のモデルマウスに投与しその効果を検討する。
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