研究課題/領域番号 |
21K16162
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53040:腎臓内科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山本 伸也 京都大学, 医学研究科, 助教 (90837105)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | ATP / 二光子顕微鏡 / 糸球体 / 腎臓 / ポドサイト / エネルギー代謝 / 急性腎障害 / イメージング |
研究開始時の研究の概要 |
急性腎障害は、慢性腎臓病に移行する予後不良疾患である。その移行メカニズムには不明な点が多く治療法の開発も十分ではない。急性腎障害時の糸球体のATP動態を評価し、急性期のエネルギー障害と慢性期における糸球体の機能障害の相関を検証する。次に、ATP可視化マウスの腎スライス培養系を樹立する。低酸素状態で腎スライス培養を行い、虚血再灌流モデルを模倣する。この手法では、尿細管や糸球体を含めた全領域での観察が容易であり、機能部位ごとにおけるエネルギー代謝の相違を検証する。さらに、低酸素培養下で腎保護候補分子を投与し、ATP動態を観察することで腎保護候補分子の簡便なスクリーニング法になるか検証する。
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研究成果の概要 |
急性腎障害における糸球体のATPイメージングに成功し、急性期のATP回復度と慢性期のポドサイトの形態異常が逆相関することを見出しました。急性期のATP低下が慢性期の糸球体病変の出現に強く関わることを示しました。次に、ATP可視化マウスを用いた腎スライス培養系を樹立し、全領域でのATPの観察が可能になりました。また各ネフロンセグメントにおける解糖や酸化的リン酸化によるATP産生のそれぞれの依存度を明らかにしました。さらに腎スライス培養に腎毒性物質を投与し、ネフロンセグメントによってATP挙動が異なることを見出し、エネルギー代謝の側面から、細胞特異的な薬理作用が存在することを示しました。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ATP可視化マウスと二光子顕微鏡を用いて、急性腎障害時の糸球体のATPイメージングに続き、腎全領域でのATPの観察に世界で初めて成功しました。急性期のATP低下が慢性期の糸球体病変の出現や腎機能低下の進行に強く関わることを示し、この結果は、急性期に細胞内ATPを保つことが、腎予後を改善するために重要であることを示唆しました。さらに腎スライス培養に腎毒性物質を投与し、ネフロンセグメントによってATP挙動が異なることを見出し、エネルギー代謝の側面から、細胞特異的な薬理作用が存在することを示しました。ATP可視化技術が、腎病態解明や腎保護薬や腎障害物質のスクリーニング法の確立に資すると期待できます。
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