配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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研究実績の概要 |
本研究は単施設並行群間比較試験(RCT)でSGLT2阻害薬であるダパグリフロジンによる腎性貧血改善効果について検討することを目的としている。組み入れ基準は(1)(2)を両方とも満たす患者 (1)糖尿病を合併するeGFR 15-59 ml/min/1.73 m2 の患者(2)WHOの貧血の診断基準(男性Hb 13g/dL未満、女性Hb 12g/dL未満)を満たし、かつEPO血中濃度が正常または低値の ESA・HIF-PH阻害薬非使用患者またはESAあるいはHIF-PH阻害薬使用患者である。介入はダパグリフロジンでコントロールはSGLT2阻害薬以外の糖尿病薬(主治医の判断にゆだねる)である。1.研究A (ESAあるいはHIF-PH阻害薬使用患者対象)主要評価項目:ESAあるいはHIF-PH阻害薬投与量(ESAあるいはHIF-PH阻害薬投与量は開始時投与量を100%とし比較。ESAあるいはHIF-PH阻害薬は研究期間中種類を変えない。投与量・投与間隔は各薬剤の添付文書と日本透析医学会からの慢性腎臓病に伴う腎性貧血ガイドラインに準じて投与を行う。)2.研究B(ESA/HIF-PH阻害薬非使用患者対象) 主要評価項目:Hb<10g/dLまたはESA/HIF-PH阻害薬を投与するまでの期間。観察測定項目はHb,EPO濃度,P,Mg,Cre,血糖値,HbA1c もしくはGA, CRP,血清鉄濃度,不飽和鉄濃度,血清フェリチン濃度(以上の測定頻度は開始後1, 2, 3か月後と3か月以降は2か月に1回)。血圧,体重(以上の測定頻度は開始時より2週間は毎日自宅にて測定。開始後1, 2, 3か月後と3か月以降は2か月に1回)。血中ヘプシジン濃度,血中エリスロフェロン濃度(以上の測定頻度は開始1, 2, 3か月後) SF-36(測定頻度は開始時及び2年観の察期間終了時)。症例登録実施中。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今回のRCTを施行するにあたって、その妥当性とサンプルサイズ計算を行うため、まず後ろ向きコホート研究を行った。当院を受診した2000名あまりの糖尿病患者を対象とした後ろ向きコホートにおいて、交絡因子で補正を行っても、eGFR15 mL/min/1.73m2以上でSGLT2阻害薬を投与されている患者において、Hb濃度が高いことが示された。年齢、性別、eGFRをマッチングしたケースコントロール解析において、SGLT2阻害薬投与患者の貧血(男性でHb<12g/dL, 女性でHb<11g/dL,ESAの使用)の有病率のORは0.35 (0.21-0.58)であった。この結果は日本腎臓学会総会および、American Society of Nephrology, Kidney Weekで発表するとともに、論文として公表した(J Diabetes Investig 2021 doi:10.1111/jdi.13717)。 RCTについては、当初、トホグリフロジンを用いて研究を行う予定であったが、ダパグリフロジンが非糖尿病合併CKDにも適応が拡大されたため、対象薬をダパ グリフロジンに変更し、開始した。当院のCRBの組織改編やコロナウイルス感染の蔓延のために当初の計画よりやや遅れているが、研究Aは17人(うち4人が脱落)、研究Bは37人(うち2人が同意撤回)が登録されている。開始1か月後以降のデータのある症例の結果をみると、いずれも、ダパグリフロジン群で貧血の改善がみられているのに対し、研究Bのコントロール群では経時的に貧血が進行している。また、研究Bではダパグリフロジン群で、EPO濃度の上昇がみられている。
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