研究課題/領域番号 |
21K16172
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53040:腎臓内科学関連
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
岡部 匡裕 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (70595272)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | ポドサイト / ポドサイト傷害 / 糸球体疾患 / EGRー1 / CKD / IgA腎症 / ループス腎炎 / ネフローゼ症候群 / 慢性腎臓病 / EGR-1 |
研究開始時の研究の概要 |
腎臓の中で糸球体という濾過装置の要として働くポドサイトは,体内で増殖や再生ができない細胞である.糸球体内の多くのポドサイトが死に至る,あるいは糸球体から剥がれてしまうと,糸球体は硬化して機能を果たせなくなり,不可逆的に腎障害が進行する.現在4万人以上の慢性腎臓病患者が毎年透析導入に至っているが,ポドサイト傷害を早期に発見し治療することで,腎臓病の進行抑制,さらには透析に至る患者を減らせる可能性がある.本研究では傷害早期に陽性となるEGR-1を用いることで,回復可能なポドサイトを検出できるかを検討する.
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研究実績の概要 |
腎生検診断された糸球体疾患患者102症例の前向きコホート研究により,ポドサイトEGR-1発現率が尿蛋白量,尿nephrinおよびpodocin mRNA量と正相関,糸球体podocin発現と逆相関しており,糸球体疾患患者においてポドサイトのEGR-1発現頻度とポドサイト傷害の程度ならびに脱落ポドサイトの程度に関連があることが示唆された.同コホートにおいて,IgA腎症(IgAN)症例のみの解析でも同様の傾向が観察され,またポドサイトEGR-1発現率は管内細胞増多や細胞性/線維細胞性半月体を伴う糸球体率とも関連する傾向であった.ループス腎炎(LN)症例75例による後向きコホート研究でも,ポドサイトEGR-1陽性糸球体率がSLEDAIスコア,尿蛋白量,管内細胞増多・細胞性/線維細胞性半月体・フィブリノイド壊死を伴う糸球体率と相関,腎機能と逆相関していた.糸球体腎炎による二次性ポドサイト傷害が原疾患の腎炎の活動性に影響されることが知られており,EGR-1がヒトのポドサイト傷害の染色マーカーになり得ると考えられた. IgAN症例においてもLN症例においても1-2年間の短期間の尿蛋白減少は,ポドサイトのEGR-1発現割合に関わらず多くの症例で認められ,EGR-1発現ポドサイトが治療により回復しうる可能性があった.一方,LN症例ではEGR-1陽性ポドサイトを含む糸球体率は長期的には腎機能低下に関連していた. 後向きコホート研究で,微小変化型ネフローゼ症候群(MCD)症例36例とネフローゼ症候群発症の巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)症例9例を比較したところ,FSGS群で有意にポドサイトEGR-1発現率が上昇していた.FSGSはMCDよりポドサイトに強い傷害が加わっていることが示唆された.
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