研究課題/領域番号 |
21K16173
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53040:腎臓内科学関連
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
小林 洋輝 日本大学, 医学部, 助教 (70802156)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | BMP-7 antagonist / 糖尿病性腎症 / NBL1 / BMP-7 / EMT / NBL1 / 腎線維化 / BMP antagonist / 慢性腎臓病 / オミクス |
研究開始時の研究の概要 |
申請者は糖尿病性腎症患者を対象にした血漿中蛋白の網羅的測定で、腎保護作用を持つBone morphogenetic protein -7のantagonistである蛋白Xが将来の末期腎不全(ESRD)を強力に予測するバイオマーカーであることを明らかにした。さらに蛋白Xは慢性腎臓病患者の近位尿細管細胞で高発現し、動物実験では、蛋白X ノックアウト(KO)マウスが一側尿管結紮(UUO)により誘導した腎線維化に対して抵抗性であることを見いだした。 そこで本研究ではこれらの成果をさらに発展させ、蛋白Xの近位尿細管細胞における発現調節機構、及び糖尿病性腎症における役割について明らかにすることを目的とする。
|
研究成果の概要 |
腎保護作用を持つBMP7のantagonistであるNBL1について、糖尿病性腎症における役割について検討した。ヒト近位尿細管細胞についてrecombinant NBL1を添加培養すると、TGFβ1やEMTマーカーの発現が上昇し、ノックダウンするとこれらの発現が抑制された。またストレプトゾトシン誘導糖尿病モデルマウスにおいてNBL1KOマウスとWTマウスで比較検討したところ、非糖尿病マウスと比較して糖尿病マウスで有意に血中NBL1の上昇を認め、腎組織においては糖尿病WTマウスと比較して、糖尿病KOマウスにおいて腎線維化マーカーのmRNA、蛋白レベルでの発現の抑制を認めた。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
糖尿病性腎症は透析導入原因疾患の第一位であり、多くの医療費が投じられているが、未だ有効な治療法は確立していない。今回、NBL1をノックダウンした近位尿細管細胞において、EMTに関与する蛋白の発現抑制を認め、マウスを用いた実験においても、NBL1KOマウスが、糖尿病により誘導される腎線維化に対して保護的であることを明らかにした。以上より、NBL1が糖尿病による腎線維化に対する治療標的になる可能性が示唆された。糖尿病による臓器の線維化機構は各臓器で共通する経路があり、本結果を通して、臓器を超えた糖尿病合併症治療に繋がる可能性がある。
|