研究課題/領域番号 |
21K16184
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53040:腎臓内科学関連
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
岩倉 考政 浜松医科大学, 医学部附属病院, 診療助教 (20771091)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 急性腎障害 / シスプラチン / DPP-4阻害薬 / 低Mg血症 / DPP4阻害薬 / 抗癌作用 / 腎保護 / 低マグネシウム |
研究開始時の研究の概要 |
シスプラチンは種々の癌に対して使用されている化学療法だが, しばしば急性腎障害を引き起こす. シスプラチンの腎毒性を軽減するために補液やマグネシウム(Mg), 利尿薬の投与が行われているが, その予防効果は不十分である.Dipeptidyl Peptidase 4 (DPP4) 阻害薬はラットおよびマウスのシスプラチンによる急性腎障害を軽減するが,シスプラチンの抗癌作用に与える影響は不明である. 本研究では, DPP4阻害薬がMgと異なる機序によりシスプラチンの腎障害を軽減するかを確認すると共に, DPP4阻害薬がシスプラチンの抗癌作用に与える影響についても検証を行う.
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研究成果の概要 |
DPP-4阻害薬の腎保護効果は腎内へのシスプラチン取り込み低下によるものではないことが確認された。低Mg血症を誘導したラットではシスプラチンの腎障害が増悪するが、併せてDPP-4阻害薬の腎保護効果が消失することが新たに明らかになった。 低Mg血症を誘導したラットではDPP-4阻害薬投与後の血中活性化GLP-1濃度は正常Mg血症ラットと同等であり、腎内GLP-1受容体の発現は正常時及びシスプラチン投与後に尿細管で認めなかった。GLP-1下流因子としてインスリンおよびインスリン様成長因子 (IGF-1)の検討を行ったところ、低Mg血症ではインスリン/IGF-1抵抗性が誘導されることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
今回明らかとなった低Mg血症ではDPP-4阻害薬の腎保護効果が消失するという現象は、低Mg血症を補正する意義として従来知られている「シスプラチンの腎毒性を軽減する」ということに「DPP-4阻害薬の腎保護効果を発揮させる」ということを加え得る。 最近先進国では糖尿病患者が増加しており、低血糖リスクの低いDPP-4阻害薬は多くの患者に投与されているが、癌患者(特にシスプラチンを投与する患者)では低Mg血症の割合が多いことから、MgとDPP-4阻害薬を併用することでシスプラチンの腎障害を軽減できる可能性が示唆される。
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