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尿毒素の蓄積と内シャント血流の変化が脳内低酸素・認知機能障害に及ぼす影響の検討

研究課題

研究課題/領域番号 21K16192
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分53040:腎臓内科学関連
研究機関自治医科大学

研究代表者

伊藤 聖学  自治医科大学, 医学部, 講師 (10807267)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
キーワード慢性腎臓病 / 血液透析 / 脳内低酸素 / 尿毒素 / 透析用内シャント / 認知機能障害 / 慢性腎不全 / 脳内局所酸素飽和度
研究開始時の研究の概要

慢性腎臓病(CKD)患者の認知機能障害の有病率は一般住民と比較して高いにも関わらず、その病態は十分に解明されていない。これまで脳内局所酸素飽和度(rSO2)の検討を通じて、CKD患者の脳内rSO2が低値であり、腎機能低下とともに低下し、認知機能と関連する可能性について明らかにしたが、CKDがなぜ脳内低酸素を引き起こすのかについての機序は解明できていない。そこでCKD患者に特有な因子として、尿毒素の蓄積と体内の循環動態への負荷となり得る透析用内シャントの存在に着目した。
本研究を通じて、尿毒素の蓄積や透析用内シャントが脳内低酸素に与える影響を検討し、認知機能障害との関わりについて明らかにしたい。

研究実績の概要

本研究の目的は、脳内酸素代謝が尿毒素物質や透析内用シャントによってどのような影響を受けているのか、さらに脳内局所酸素飽和度(rSO2:regional oxygen saturation)の低下が認知機能にどのような影響を与えているかについて明らかにすることである。
令和5年度の研究実績として、透析用内シャントを必要とする保存期慢性腎臓病(CKD)患者における透析用内シャント造設術において、シャント造設前と比較し、造設後には脳内rSO2が低下することを見出した。また、これまでHD患者において、糖尿病透析患者が非糖尿病透析患者と比較し脳内rSO2が低値であることは明らかにされていたが、透析導入前の末期CKD患者における糖尿病の有無による脳内rSO2の違いは明らかになっていなかったが、末期のCKD患者においても糖尿病CKD患者では、非糖尿病CKD患者と比較し、脳内rSO2が低値であることを明らかにした。しかしながら、糖尿病の有無にかかわらず、シャント造設後の低下の割合に差は認めないことも見出した。
CKD患者において、透析用内シャントは、生命維持のためのHD治療を実施するにあたり、必須である。しかしながら、非生理的な透析用内シャントを内在することは、シャントを介した無効循環を増加させることから、脳や心臓を含む重要臓器に対しても影響を与えている可能性があるが、上記の研究成果は、仮にシャント血流量が小さい場合であっても、透析用内シャントが存在することで、脳組織が低酸素状態に置かれることを示唆している。このことは生理学的にも、透析用内シャントが脳内酸素動態に与える影響を示した重要な知見である。次年度も、更なる研究の拡大と、透析用内シャントが脳内低酸素に与える影響について、更なる検討を加える予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

順調に症例の登録が進み、結果についての解析を加えることにとどまらず、昨年の論文化に続き、新たな研究結果と新規の知見を得るに至った。上記の研究結果も現在、論文投稿中であること、重要な知見を得ることができたと判断しており、「おおむね順調に進展している」と判断した。さらに、これまで得られた研究結果を元に、研究を継続中であり、次年度さらに研究を進めることで、当初の計画以上の知見が得られ、研究成果を上げられる可能性があると考えている。

今後の研究の推進方策

今後は、現在行っている症例数の拡大と、これまでの研究が、PTA治療や手術といった短時間で起こり得る脳組織の変化をターゲットとしてきたが、治療や手術における変化が中長期的な観察において、どのような影響を受け、変化するかどうか等について、検討を加える予定である。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (11件)

すべて 2023 2022 2021

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Differences between Hepatic and Cerebral Regional Tissue Oxygen Saturation at the Onset of Intradialytic Hypotension.2023

    • 著者名/発表者名
      Kaneko S, Ookawara S, Ito K, Minato S, Mutsuyoshi Y, Ueda Y, Hirai K, Morishita Y.
    • 雑誌名

      J Clin Med.

      巻: 12 号: 15 ページ: 4904-4904

    • DOI

      10.3390/jcm12154904

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Factors affecting intradialytic hepatic oxygenation: Associations between ultrafiltration rate and changes in systemic blood pressure.2023

    • 著者名/発表者名
      Ookawara S, Ito K, Ueda Y, Minato S, Kaneko S, Hirata M, Kitano T, Miyazawa H, Hirai K, Morishita Y.
    • 雑誌名

      Int J Artif Organs.

      巻: 3913988231168656 号: 5 ページ: 256-263

    • DOI

      10.1177/03913988231168656

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Effects of percutaneous transluminal angioplasty and associated factors in access hand oxygenation in patients undergoing hemodialysis.2023

    • 著者名/発表者名
      Sugiyama T, Ito K, Ookawara S, Shimoyama H, Shindo M, Hirata M, Shimoyama H, Nakazato Y, Morishita Y.
    • 雑誌名

      Sci Rep

      巻: 13(1) 号: 1 ページ: 2576-2576

    • DOI

      10.1038/s41598-023-29879-0

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Cerebral oxygenation changes in response to post-hemodialysis standing2022

    • 著者名/発表者名
      Imai S, Ookawara S, Ito K, Hattori T, Fueki M, Iguchi M, Kiryu S, Sanayama H, Kakei M, Tabei K, Morishita Y.
    • 雑誌名

      J Artif Organs.

      巻: - 号: 2 ページ: 127-133

    • DOI

      10.1007/s10047-022-01343-2

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Clinical factors affecting cerebral oxygenation in patients undergoing peritoneal dialysis2021

    • 著者名/発表者名
      Kitano T, Ito K, Ookawara S, Hoshin T, Hayasaka H, Kofuji M, Uchida T, Morino J, Minato S, Kaneko S, Yanai K, Mutsuyoshi Y, Ishii H, Matsuyama-Hirata M, Shindo M, Miyazawa H, Ueda Y, Hirai K, Morishita Y.
    • 雑誌名

      Int J Artif Organs

      巻: 44 号: 11 ページ: 822-828

    • DOI

      10.1177/03913988211020017

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 透析後における疲労感と体位変換時の血圧・脳内局所酸素飽和度の変化についての検討2021

    • 著者名/発表者名
      今井 宗次郎, 服部 高志, 今井 真理子, 桐生 智, 和田 典子, 井口 美保, 伊藤 聖学, 大河原 晋, 森下 義幸, 田部井 薫
    • 雑誌名

      日本透析医学会雑誌

      巻: 54 号: 8 ページ: 421-422

    • DOI

      10.4009/jsdt.54.421

    • NAID

      130008079312

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [学会発表] 血液透析中の組織微小循環と運動療法の影響を探る:近赤外線分光法による分析を中心に. 血液透析患者の臓器内局所酸素飽和度.2023

    • 著者名/発表者名
      伊藤聖学、大河原晋、森下義幸.
    • 学会等名
      日本腎臓リハビリテーション学会学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 透析低血圧発症時における肝臓内・脳内局所酸素飽和度の変化に関する検討2023

    • 著者名/発表者名
      金子 昌平, 大河原 晋, 伊藤 聖学, 森下 義幸
    • 学会等名
      埼玉透析医学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 血液透析後立位における脳内局所酸素飽和度の変化に関する検討2023

    • 著者名/発表者名
      伊藤 聖学, 大河原 晋, 渡邊 祐作, 睦好 祐子, 北野 泰佑, 田部井 薫, 森下 義幸
    • 学会等名
      日本腎臓学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 透析患者における脳血管障害の予防と治療の特殊性 透析患者における脳の酸素化に関する研究.2021

    • 著者名/発表者名
      伊藤聖学、大河原晋、内田隆行、森下義幸.
    • 学会等名
      第66回日本透析医学会学術集会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 血液透析症例の脳内酸素動態から見た目標ヘモグロビン濃度に関する検討2021

    • 著者名/発表者名
      大河原 晋、北野 泰佑,、宮沢 晴久、伊藤 聖学、森下 義幸
    • 学会等名
      第64回日本腎臓学会年次学術集会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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